職員組合って何だ
水曜日, 8月 15th, 2007鬼城竜生
岐阜県庁の裏金問題で、何に驚いたかといえば、その壮大な金額についてである。あれだけの金額を隠していたとすれば、それは最早裏金ではなく表金である。つまり県民の納めた税金を、自分達のために勝手に使っていたということである。しかも、その金額からすると、隠れてこそこそやっていたわけではなく、疑いもなく、上も承知してやっていたということであろう。兎に角上が認めていなければ、下々だけで何億という金をちょろまかすことはまず不可能である。
更に驚かされたのは、県職員組合が裏金隠しに加担していたという、その事実についてである。我が国では、公務員は労働組合を作ることは認められていない。それに代わるものとして職員組合を作ることが認められているのであって、加盟している組合員の意識としては、明らかに労働組合に加盟しているという認識が強いはずである。
従って職員組合の位置付けは、県庁組織からは完全に独立した組織として運営されていなければならない。県の運営について、常に批判的な視点で見ることを、忘れてはならない立場にいるのである。組織は、外から窺い見た程度では、何をやっているのか見えない部分が多い。更に組織運営になれるに従って、機能が麻痺するのみならず、組織に属する人の感覚も麻痺してくるのである。
時には腐った林檎を取り除くことが出来ず、組織全体に腐敗が蔓延することがある。職員組合は、その様な組織にあって、組織全体の法令順守(compliance)を監視する役割を果たさなければならないのである。
その観点からすると、県組織の裏金のうち約3億円をプールし、その一部については、自分達も使っていたということでは、将に何をか言わんやである。何のために職員組合が存在しているのか分からない。少なくともその様な職員組合では、職場で働く職員の労働条件を守るなどという、職員組合本来の役割を忘れてしまっているのではないか。職員組合は職員組合であって互助会ではない。
しかも驚くことに現執行部の4役全員が、10月の役員選挙に立候補し、再任される見通しであることが、19日に分かったとする新聞報道[読売新聞,第46889号,2006.9.23.]がされていた。
執行委員長は、『再任後裏金問題が決着すれば退任する』といっているようであるが、感覚がずれきっているとしかいいようがない。現執行部は全員辞任し、新しい役員を選任して事に当たらせるべきである。執行委員長として、職員組合の組合員に対する責任と同時に、県民に対しても責任を取らなければならない。
現執行部は、坊主総懺悔で、全員退任し、新執行部を選出し、組織の改革を図ることが必要である。
(2006.9.23.)