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懲りない面々

水曜日, 8月 15th, 2007

鬼城竜生

厚労省所管の独立行政法人「国立病院機構」大阪医療センター(大阪市中央区)の事務部長(57)が前任の旧国立京都病院(現・京都医療センター)時代に、看護師宿舎の改修などに使われる共益費約900万円を着服した疑いが強まり、京都地検は28日にも業務上横領容疑で強制捜査に着手する。地検は、関係者の証言などから、共益費以外にも公金が「裏金」としてプールされ、私的に流用された疑いがあると見ている。

調べでは、事務部長は2002年4月-2004年3月、旧国立京都病院の事務部長として勤務。2003年春、看護師約100人が入居する宿舎の共益費を積み立てた銀行口座から約900万円を無断で引き出し、着服した疑いがある。共益費は当時、毎月1人あたり2000円前後で、事務部長の部下が管理していたという。内部告発などを受けて、地検が内定していた。

複数の関係者らが「裏金」の存在を認めた上、「業者に水増し請求したことがある」「部内で管理され、飲食などに使われた」と証言しており、地検は、事務部長が関与した支出に関心を寄せている

[読売新聞,第46710号,2006.3.28.]。

旧国立病院の看護宿舎の共益費を巡る横領事件で、京都地検特別刑事部は、28日前事務部長(57)(現、大阪医療センター事務部長)ら数人について、業務上横領容疑で取り調べを始めた。容疑が固まり次第、逮捕する方針。

また、前事務部長らは、職員互助組織「病院協会」の口座などを管理していたほか、看護師宿舎の電気製品の修理費をカラ請求するなどの手口で公金の一部をプールし、多額の裏金を作っていたことが、関係者の証言で新に判明した。地検は、前事務部長を中心に組織的な裏金作りが進められていたと見て、不明朗な金の流れを調べる。

調べなどでは、前事務部長らは2003年5月、看護師宿舎の共益費を積み立てている口座を解約し、約880万円を横領した疑いがもたれている。

前事務部長は、自動販売機や公衆電話などの設置手数料、生命保険の手数料収入などが振り込まれていた「病院協会」の講座を事実上、管理していた。ところが手数料などの収入が、収益事業に伴う所得と見なされ、自主申告する必要に迫られたことから2002年3月期までの4年間で法人税二百数十万円を自主申告した。その際、着服した共益費の一部を流用し、前事務部長らの飲食代や前事務部長のポケットマネーに充てられていた。

一方、旧国立病院のOBらでつくる「保健医療ビジネス」(本社・東京)との取引を巡り、全国の旧国立病院が随意契約などの不透明な調達方法で駐車場の管理などを集中的に発注していたが、看護宿舎の管理は同社近畿支店の受注だった[読売新聞,第46710号,2006.3.28.]。

京都医療センター(旧国立京都病院)の施設の共益費を巡る横領事件で、京都地検特別刑事部は28日、前事務部長の粟井一博(57)(現、大阪医療センター事務部長)ら3容疑者を業務上横領容疑で逮捕した。粟井容疑者らはこの他にも、病院施設の電気製品の修理や備品の修繕などを取引業者にカラ請求するなどの手口で公金の一部をプールし、複数の口座に総額1000万円以上の裏金を作っていたことが関係者の証言で新に判明した。一部を厚労省幹部に対する接待に使ったと見て使途を更に調べる。

他の逮捕者は、元会計課長の東垣陽一(54)(現、兵庫青野原病院事務長)、元庶務課長の水嶌啓一(57)(現、宇多野病院事務部長)の両容疑者。

調べでは、3容疑者は共謀し、2003年5月半ばに病院施設の共益費の口座を無断で解約し、約880万円を横領した疑い。粟井容疑者は「私的な流用はしていない」と容疑を否認している。

また、粟井容疑者が京都医療センターで勤務していた2002年4月以降、厚労省幹部と頻繁に飲食、粟井容疑者の部下だった職員が同じ幹部らをゴルフに誘い、一緒にプレーしたりしていたことが判明した。関係者は「裏金が使われた」と話しており、地検はこうした証言にも関心を寄せている [読売新聞,第46711号,2006.3.29.]。

何年かに一遍、同じ様な事件が起こるが、少しも懲りていないというのが不思議である。今回の事件も国立病院時代と全く同じで、国立病院から独立行政法人国立病院機構に組織改変されたにもかかわらず、国病時代の体質は、そのまま引きずっているということのようである。

まず厚生労働省の役人と顔繋ぎをするのは出先の役人にとって重要である。例えば順番を変更して、医療機器等の予算を回遊して貰う。設備改修費を他の施設の順位を飛ばして回して貰う。特別に裏の予算を付けてもらう。これら予算絡みの話は、各施設において事務部門の長の評価に繋がる。

曰く予算を取るのが上手い事務部長だ。

更に本省に厚い人脈を持つことは、自分の人事にも好影響を及ぼす。

いわゆるノンキャリと呼ばれる一般職公務員が、座れる本省の課長の席は限られている。課長補佐として長らく本省の席に座って、予算を握るか人事を握るか。多くは大都市の国立の大施設に天下って行く。つまり本省には元々人脈があるわけだが、その人脈を何時までも繋いでおくためには、接待が必要ということになる。出先機関の視察に来たときに、温泉旅館に泊まって一杯やる。次の日には近場のゴルフ場でゴルフをやる。出張で地方大都市に御出になれば、その土地の繁華街の飲み屋に御案内し、歌の一つも歌うということになる。

これらの費えに使う金は、自分の金だけでは間に合わない。通常であれば、公衆電話の置き賃や自動販売機の手数料を職員の福利厚生費に使用するという名目で○○協会として管理し、使用するという手品を使っているが、最早、公衆電話は大きな収入源にはならない。一度遊び癖がつくと、簡単には修正が効かない。空領収書を業者に依頼して支払いの事実をでっち上げる。そうやって浮かした程度の金では間に合わないところまで来た結果、積立金に手を付けたのであろうが、職員の積立金に手を付けたという話は今まで聞いたことがなかった。

このあたりが国立病院から国立病院機構に組織改変された違いなのだろうか。

しかし、もし彼らの思いの中に、誰もがやっていることだなどという思いがあったとしたらそれは不幸な思いこみだといえる。また、何回も逮捕者が出ながら、根絶できていないとすれば、上っ面の捜査で終わっており、本省も含めて根こそぎ浚えてないということである。

天網恢々疎にして漏らさず。

派手になればなるほど甚だしく目立つ。更に皆に好かれる管理職はいない。阻害された奴は頭に来て何処かに知らせる。結局は明るみに出て、職を失うことになってしまう。それこそこの悪しき構図は、そろそろ止めてはどうか。

更に病院内・本省内における監視機関の一つとして、労働組合の存在さ認知させるべきである。

(2006.4.16.)