トップページ»

コンフリーに関する通知文書

水曜日, 8月 15th, 2007

コンフリーは牧草であるという認識を持っていたので、コンフリーの摂食禁止に関する通知がでたと聞いた時に、“いわゆる健康食品”の材料として使用されているものと考えていた。しかし、その後、国外では野菜として摂取され、国内においても一時野菜として摂取するのが流行ったと聞いて、一体このコンフリーというのは何なんだということで調べてみることにした。

コンフリー(Comfrey)は、ヨーロッパを原産地とするムラサキ科(Boraginaceae)の多年草で、原生種:オオハリソウの園芸種。ムラサキ科ヒレハリソウ属(Symphytum spp.)として数種のものが見られる。和名:ヒレハリソウ(Symphytum officinale L.)、鰭玻璃草。

英名:beinwell。

コンフリー(Symphytum peregrinum)→Symphytum officinaleとの交配種。

鰭玻璃草(Symphytum officinale)

鰭玻璃草の含有成分:アラントイン、粘液、タンニン酸、珪酸、コリン、イヌリン、シンフィト-チノグロッシン。ピロリジジンアルカロイド(Pyrrolizidine alkaloids:PAs)。

鰭玻璃草をチンキ、粉薬、お茶として飲むことが出来る。チンキは25-30滴を3回、お茶としては根又は葉から作ったものを1カップずつ3回与える。最も効果が強いのは粉薬で、大きな傷、下腿潰瘍、骨折、切断又は手術後の治癒の促進には、小匙1杯の粉薬を服用する。

膝関節愁訴、内出血、下腿潰瘍、痛風、非炎症性関節炎と静脈炎に対して、乾燥した根を挽いた粉に熱湯を加えてよくかき混ぜ、硬めのネバネバした粥にする。これを布に塗って当該する部位に貼付し、一晩作用させる。コンフリーの葉は野菜として生でサラダや野菜ジュースなどに使ってもよい。ビタミンB12、アラントイン、珪酸と蛋白質を含んでいる。この葉はカビやすいので、慎重に乾燥しなければならない。

コンフリーは、コーカサス地方の長寿村で常食しているということから、欧米で“奇跡の草”と呼ばれたことが伝えられ、1960年代に国内で流行した。コンフリーはビタミンやミネラルを多彩に含有しているといわれるが、中でもビタミンB12、有機ゲルマニウムを大量に含んでいる等の報告がされている。

なるほどコンフリーには、“いわゆる健康食品”の材料として、魅惑的な成分が含まれているが、一方でピロリジジンアルカロイド(Pyrrolizidine alkaloids:PAs)については、コンフリー摂取による毒性発現の原因物質であり、肝静脈閉塞性疾患等の疾病を招来するとして、厚生労働省から『摂取禁止』とする通知が発出されたので、経口摂取は中止すべきである。

  1. 奥本裕昭・訳:イギリス植物民俗事典;八坂書房,2001
  2. 手塚千史・訳:大地の薬-ヨーロッパの薬用植物の神話、医療用途、料理レシピ;あむすく,1996
  3. 奥田拓道・監修:健康・栄養食品事典-機能性食品・特定保健用食品;東洋医学舎,2004-2005

以下に参照として、コンフリーに対する厚生労働省通知の一部を添付する。

  食安発第0618002号

平成16年6月18日

都道府県

各保健所設置市衛生主管部(局)長 殿

特別区

厚生労働省医薬食品局食品安全部長

シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品の取扱いについて  シンフィツム(いわゆるコンフリー、以下「コンフリー」という。)及びこれを含む食品に関しては、平成16年3月24日付けで厚生労働大臣から食品健康影響評価について食品安全委員会委員長に対し意見を求めていたところ、今般、緊急を要するとの食品安全委員会での議論から、国民からの意見募集に先立ち、別添のとおり食品健康影響評価の通知があったところである。これを受けて、コンフリー及びこれを含む食品については、食品衛生法第6条第2号に該当するものとして販売等を禁止することとしたので、御了知願いたい。

なお、コンフリー及びこれを含む食品に対する、食品衛生法第54条の適用にあたっては、営業者が自主的に廃棄、回収等の措置を適切に講じている場合には、これを考慮いただくようお願いする。

また、食品安全委員会では、別添通知の別添審議結果に対して広く国民からの意見・情報を募っているので、申し添える。

なお、コンフリー等の取扱いについては、平成16年6月14日付け食安基発第0614001号、食安監発第0614001号「シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品の取扱いについて」にて通知したところであるが、改めて営業者に十分な周知を図られたい。

(参考)

食安基発第0614001号

食安監発第0614001号

平成16年6月14日

都道府県

各 保健所設置市衛生主管部(局)長 殿

特別区

厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課長

厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長

シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品の取扱いについて

シンフィツム(いわゆるコンフリー、以下「コンフリー」という。)及びこれを含む食品の取扱いについては、厚生労働大臣から食品安全委員会委員長に対し、食品健康影響評価を依頼しているところであるが、本日の食品安全委員会かび毒・自然毒等専門調査会において、「コンフリー(Symphytum spp.)が原因と思われるヒトの肝静脈閉塞性疾患等の健康被害例が海外において多数報告されていること、また、日本においてコンフリーを使用した健康食品等がインターネットを使って販売されていることなどの情報から、日本においてコンフリーを摂食することによって健康被害が生じるおそれがあると考えられる」旨の意見の一致を見たところである。

調査会の議論によれば、コンフリーの摂取によるヒトの健康被害として、肝静脈閉塞性疾患(肝静脈の非血栓性閉塞による肝硬変又は肝不全)等が指摘されているところである。

また、この調査会では、「広く国民一般に対し、コンフリーを摂食することのリスクについて注意喚起するなど適切なリスク管理措置を講じるべきであると考える」ことが指摘されているところである。

ついては、貴職にあっては、コンフリー及びこれを含む食品を製造、販売等をしている営業者に対しては、当該食品の製造、販売等の自粛及び自主的な回収措置等を内容とする指導の徹底方よろしくお願いする。

また、製品化されたもののみならず、コンフリーを栽培し、又は自生しているコンフリーを採取等する者があることが指摘されていることから、国民に対しコンフリー及びこれを含む食品の摂取を控えるよう幅広く情報提供いただけるようよろしくお願いする。

なお、食品安全委員会の食品健康影響評価の結果が正式に示された後に、貴職が監視指導を行うに当たり必要な食品衛生法上の措置を改めて通知する旨、申し添える。

厚生労働省行政情報-報道関係資料

  シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品の取扱いについて

平成16年6月14日

厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課

本日、食品安全委員会かび毒・自然毒等専門調査会にて、シンフィツム(いわゆるコンフリー、以下「コンフリー」という。)及びこれを含む食品の取扱いについて、「コンフリー(Symphytum spp.)が原因と思われるヒトの肝静脈閉塞性疾患等の健康被害例が海外において多数報告されていること、また、日本においてコンフリーを使用した健康食品等がインターネットを使って販売されていることなどの情報から、日本においてコンフリーを摂食することによって健康被害が生じるおそれがあると考えられる」旨の意見の一致が見られたところです。

これを受け、厚生労働省は、コンフリーの製造・販売、摂取等に係る留意事項を次のとおり示したところですので、情報提供いたします。 なお、同留意事項については、地方自治体及び関係事業者・消費者団体に対し通知したことを申し添えます。

(1) コンフリーを製造・販売・輸入等する営業者に求める事項

  • コンフリー及びこれを含む食品の製造・販売・輸入等の自粛
  • 回収等、営業者による自主的な措置の実施

*食品安全委員会の食品健康影響評価の結果が正式に示された後、コンフリーに対し、食品衛生法に基づく法的な措置をとることとなる。

(2) 一般消費者に対し求める事項

  • 販売されたコンフリー及びこれを含む食品の摂取を控えること
  • 自生し、又は自家栽培したコンフリーについても、その摂取を控えること

(参考)シンフィツム(いわゆるコンフリー)とは

別名:ヒレハリソウ

学名:Symphytum spp.

(主な種)

Symphytum offcinale :通常のコンフリー

Symphytum asperurn :プリックリーコンフリー

Symphytum x uplandicum :ロシアンコンフリー

(コンフリーを含む製品では、これらの種類が区別されていない場合あるいは交雑種を使っている場合がある。若い芽や若い葉は茹でるなどして食べられることが知られている。)

科名:ムラサキ(Boraginaceae)科

原産地:ヨーロッパ、西アジア

シンフィツム(いわゆるコンフリー)に関するQ&A

Q1. シンフィツム(いわゆるコンフリー)とはどのようなものですか。

A1.別名ヒレハリソウともいう。ムラサキ科ヒレハリソウ属の多年草本で、主な種として、通常のコンフリー(Symphytum offcinale)、プリックリーコンフリー(Symphytum asperum)、ロシアンコンフリー(Symphytum x uplandicum)などがあります。

コーカサスを原産地とし、ヨーロッパから西アジアに分布しています。草丈は60?90cmで、直立し、全身に粗毛が生え、葉は卵形?長卵形。初夏から夏にかけて花茎を伸ばして釣り鐘状の白~薄色の花を咲かせます。我が国には、明治時代に牧草として入り、一時長寿の効果があると宣伝され、広く家庭菜園に普及しました。[参考:丸善食品総合辞典(丸善株式会社) 他]

Q2.コンフリーを摂食することでどのような健康被害が知られていますか。

A2.諸外国では、コンフリーを摂取した場合の主要な健康被害として、肝障害が報告されています。主な肝障害は肝静脈閉塞性疾患で、主に肝臓の細静脈の非血栓性閉塞による肝硬変又は肝不全です。主症状は、急性又は慢性の門脈圧亢進、肝肥大、腹痛です。

Q3.コンフリーを含む製品を摂取していますが、どうすればいいですか。

A3.摂取を中止してください。また、気になる症状がある場合には、最寄りの医療機関で診察を受けてください。なお、日本国内でコンフリー又はこれを含む食品を摂取したことによる健康被害事例は、これまで報告されていません。

Q4.自生あるいは栽培しているコンフリーは有害ですか。

A4.自生あるいは栽培しているコンフリーであっても食用とすることで健康被害が生じるおそれがあると考えられるので食用にはしないでください。なお、コンフリーが生育している環境中で生活していてヒトの健康に影響を及ぼすようなことはありません。

Q5.外国ではコンフリーの規制はありますか。

A5.米国では、コンフリーを含む栄養補助食品の自主回収等を勧告しています。カナダでは、コンフリーを含むNatural Health Productについては、当局の許可を得ている製品以外は販売禁止となっています。オーストラリアでは、コンフリーの一部の種類は意図的に食品に添加することを禁止する植物とされています。

[2005.1.24.作成]