クリスタル・インテリジェンス
水曜日, 8月 15th, 2007医薬品情報21
古泉秀夫
情報関連の言葉として新聞のコラムで『クリスタル・インテリジェンス』=『結晶性知』=『バラバラな知識を結晶のようにまとめる知性』なる言葉を見た時は、なるほどねぇと思った訳ではある。が、時間が経つにつれて、何か引っかかるものが出てきた。何時もなら習慣的にきっちりメモを取っておくのだが、今回は何気なく読み流したということで、どの新聞に載っていたのかも定かではない。
2004年12月20日(月)・21日(火)のどちらか。どっちかというと21日が怪しい。読んだ可能性のある新聞は毎日新聞、日本経済新聞。掲載のスタイルはいわゆる囲みで、誰かの著作中に『クリスタル・インテリジェンス』なる言葉が使われていたという内容だったと記憶している。
花の写真 クリスタル(crystal)という言葉の意味は「結晶、水晶」、インテリジェンス(intelligence)の意味は「知性、理知」である。それからすると『結晶性知』なる訳語は、ややピンと来ないといおうか、他に何かないのかというのが正直な思いである。
つまり『バラバラな知識』を『結晶のようにまとめる能力』という意味が、『結晶性知』からは読み取れないのではないかと思われるのである。
文書を書く場合、カタカナ語を使いたくないという思いが、殆ど病的に近いと思っている当方としては、適切に置き換えることの出来る言葉はないのかと思い迷うのである。
ただ、「この日記ではクリスタル・インテリジェンス、つまりは長いあいだの経験や学習で得てきた判断力であれこれと書いてきた。そこにはおのずから限界があると私は自覚している。自分が蓄えてきた枠内での判断にすぎないからだ。」という文脈からすれば、“情報を蒐集する技術”ではなく、自身積み上げてきた知識、蒐集した知識ということになる。
クリスタル・インテリジェンスを『バラバラな情報を蒐集し、まとめる知識(能力)』と考えると、『結晶性知』は意味不明の訳語になるが、蒐集し、蓄積した知識に基づく判断ということであれば、『結晶性知』でいいということかも知れない。
しかし、この言葉の意味が、世間一般に広く知られるようになるまでに、クリスタル・インテリジェンスが一人歩きすることは当然考えられる。何せ、『結晶性知』に比較すると、クリスタル・インテリジェンスは、意味は不明であるが数段格好がいいという、若者受けをする言葉であるということである。