『監修料という名の税金収奪』
火曜日, 8月 14th, 2007魍魎亭主人
厚生労働省と社会保険庁の職員が、補助金で製作された冊子などの監修料を得ていた問題で、職員らに流れた監修料は過去5年間で総額7億 5000万円に上がることが22日両省庁の内部調査で判明した。厚生労働省は同日、厚労省審議官以下の幹部職員計数百人に給与の一部を返納させる方針を決定。監修料の受領は法律には違反しないため、職員の処分は行わないが、幹部職員の監督責任を問う。一人当たりの返納額は最高で数百万円、総額1億3000 万円以上になると見られる。 厚労省によると、1999年度から2003年度までの5年間に監修料を受け取っていたのは、同省国民健康保険課や社会保険庁などの係長以下の職員。国家公務員倫理法で副収入の届け出が義務づけられた幹部職員は含まれておらず、殆どのケースでは、それぞれ確定申告も適正に行われていた。しかし、補助金として支出されていた巨額の国費の一部が、結果として職員の私的収入として還流していたことなどについて、批判は避けられないと判断。幹部職員が監督責任を負うことで決着を図ることにした [読売新聞,第46190号,2004.10.22.]。
何ともはや不思議なことは、国の補助金で作成される冊子と称するものは、国の政策や実施計画の内容をより国民に分かり易く解説、あるいは宣伝するものではないのか。
もしそうであれば、役人としての本来業務の範囲内の業務であり、監修料なるものをいちいちとる必要はないはずである。本来、自分達が予算の枠内で冊子の印刷・発行をするべきものを、補助金の瞑目で特定の民間会社に流し、その上前を弾くというやり方は、以ての外といわざるを得ない。
監修料の受領は法律に違反しないというが、高額な編集・印刷料は、公開入札で決めるべきを、随契で特定の業者に集中したやり方は、当然変更を命じるべきであって、それを放置していたというのは国民に対する裏切りである。更に一々監修料なるものを業者に支払わせるなどというのは、自分達の仕事をあくまで他所様の仕事に見せかけて税金の上前をかすめ取る行為以外の何ものでもない。
更に不思議なことは、総額7億5000万円のうち返納額を1億3000万円以上に決めたというが、何を基準にして返戻額を決めたのか。7億 5000万円のうち、1億3000万円には問題があり、6億2000万には問題がないと決めたのはどの様な理由によるものか、お伺いしたいところである。あらゆる手を使って、税金を掠め取ろうとする根性は、徹底した処分と人事刷新しかない。
その際、何処かに天下り先を見つけて、行き先の世話をしたのでは、またその行き先に配慮しなければなくなる。定年まで勤務せず、定年年齢前に勧奨による退職があるから行き先を探す。引き受けた民間会社は、おこぼれを期待して役所に食い込もうとする。この関連の環を切断するためには、勧奨を中止して、定年年齢まで勤務する。しかし、その後は一切の紹介はしないという仕組みを作るより方法はないと思うがどうか。
自分達の扱っている金は、国民の金であるという認識を持つことが、役人にとっての全ての出発点でなければならないはずである。
(2004.11.24.)