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MRAについて

火曜日, 8月 14th, 2007

KW:治験薬・治験記号・MRA・トシリズマブ・tocilizumab・アトリズマブ・atlizumab・アクテムラ

 Q:治験記号MRAで表記される薬物について

A:治験記号MRAで表記される薬物の成分は、トシリズマブ(遺伝子組換え):tocilizumab(recombinant)である。同意語:hPM-1、anti-IL-6 receptor monoclonal、antibody(recombinant)、rhPM-1、anti-interleukin-6 receptor monoclonal antibody(recombinant)、R-1569、アトリズマブ、atlizumab、[商]アクテムラ(中外製薬-Roche)。

剤型:点滴静注。

本剤はチャイニーズ・ハムスター卵巣由来細胞を宿主とし、マウスモノクロナール抗体の抗原結合部位だけを遺伝子操作でヒト抗体に埋め込んだ抗ヒトIL-6受容体抗体である。

慢性関節リウマチ(若年性関節リウマチ)、キャッスルマン病、多発性骨髄腫、全身性エリトマトーデス、クローン病等のIL- 6関連疾患を対象として開発が進められている。

国内においては『組換えDNA技術応用医薬品などのための指針』に適合しているとして、中央薬事審議会バイオテクノロジー特別部会で確認されている。なお、本剤はキャッスルマン病について2000年12月20日オーファンドラッグに指定された。同適応で2003年4月に申請され、2005年3月17日の分科会で製造承認がされた。

国内では現在第III相臨床試験:慢性関節リウマチ、若年性関節リウマチ。第II相臨床試験:クローン病が実施中と報告されている。

■キャッスルマン病(Castleman disease)

縦隔巨大リンパ節過形成(mediastinalgiant lymph node hyperplasia):中縦隔に発生する充実性腫瘍で、組織学的にはリンパ濾胞、小血管増殖、リンパ球や形質細胞の増殖を見る。臨床的には非腫瘍性、良性疾患と認識されていた。リンパ節病変は基本病変ではあるが、病変局在が胸腔や肺間質にまで及ぶことが明らかにされ、しばしば免疫グロブリンの増加や減少を伴うことから血管免疫芽球性リンパ節症と呼ばれている。リンパ腫への移行や感染症の併発により死亡することがあるが、約1/3は良性の経過を取る。

治療としては、副腎皮質ホルモンを基本に免疫抑制薬の併用療法が試みられる。

  • 製品名:アクテムラ点滴静注用200(中外製薬)[2005年4月11日薬価収載承認]
  • 一般名:tocilizumab(recombinant)。当初一般名としてatlizumabが使用されていた。
  • 特 徴:本剤は、ヒト化抗ヒトインターロイキン6(IL-6)レセプターモノクロナール抗体であり、IL-6の生物学的作用を阻害することによりその薬効を示す。
成分・含有量 有効成分 トシリズマブ(遺伝子組換え) 200mg
添加物 精製白糖

ポリソルベート80

pH調整剤

500mg

5mg

性状 無色-微黄色液  
pH 6.0-7.0  
浸透圧 0.5-1.0(生理食塩水に対する比)
  • 効能・効果:キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見(C反応性蛋白高値、フィブリノーゲン高値、赤血球沈降速度亢進、ヘモグロビン低値、アルブミン低値、全身倦怠感)の改善。ただし、リンパ節の摘除が適応とならない患者に限る。
  • 用法・用量:通常、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kgを2週間隔で点滴静注する。なお、症状により1週間まで投与間隔を短縮できる。

なお、本剤使用時の詳細については、添付文書参照のこと。

[011.1.MRA:2005.5.13.古泉秀夫]


  1. 明日の新薬;Technomics,2005.5.9.
  2. 薬事・食品衛生審議会薬事分科会・新聞発表用資料,2005.3.17.
  3. 伊藤正男・他総編集:医学書院医学大辞典,2003