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β-プロピオラクトンについて

火曜日, 8月 14th, 2007

KW:薬名検索・β-プロピオラクトン・β-propiolactone・プロピオラクトン・propiolactone・繊維改質剤・殺菌消毒剤・添加物・毒性

Q:血液製剤中に添加されていたとされるβ-プロピオラクトンとはどの様なものか

A:propiolactone、β-propiolactone。一次発癌剤として知られる。このようなβ-ラクトン類は環張力を有するため、容易にO-H2Cの間で開裂、生体高分子の求核官能基を攻撃してアルキル化剤となるとする報告が見られる。

β-propiolactoneの用途は、医薬品、有機合成(アクリル酸及びアクリレート)、繊維改質剤、殺菌消毒剤などである。代謝不詳。皮膚一次刺激性は強い。眼、鼻、咽頭、気道粘膜刺激あり、0.1mg/L以上では耐えられない。動物実験で発癌性あり、人に対する発癌性についての疫学的証拠はない。許容濃度1.5mg/m3、A2(ACGIH)等の報告も見られる。

その他、β-propiolactoneについて、次の報告がされている。

  • 用途:医薬、合成樹脂、殺菌消毒、繊維改質。
  • 物理・化学的性質:液体。火災危険(中等度)-熱、火炎に近づけないこと。融点:?33.4℃、引火点:70℃。
  • 溶解性:水に37%(v/v)可溶、アルコール(反応する)、アセトン、クロロホルムに混和。
  • 毒性:経口-ラット LDL0:50mg/kg、経口-ラット TDL0:3500mg/kg・70週 間歇投与(発癌性)、皮下-ラット TDL0:20mg/kg・34週(発癌性)、気管-ラット TDL0:180mg/kg・30週(発癌性)、皮膚-マウス TDL0:2700mg/kg・27週(発癌性)、腹腔-マウス LDL0:3mg/kg、皮下-マウス TDL0:69mg/kg・43週(発癌性)、静脈-マウス LD50:345mg/kg。
  • 代謝:明らかでない。
  • 症状:希釈されない形では強力な一次刺激作用がある。動物実験で静脈内投与すると、肝臓壊死と腎尿細管障害を惹起するが、投与前に蛋白質と反応させておくと、その毒性はかなり低下するといわれている。またマウス、その他の動物実験で皮膚に対する発癌物質又はカルチノーゲンであることが認められている。

等の報告がされている。

なお、本品は『医薬品添加物』としての承認はされていない。

[011.1.PRO:2003.7.28.古泉秀夫]


  1. 薬科学大辞典 第3版;廣川書店,2001
  2. 最新医学大辞典 第2版;医歯薬出版株式会社,1996
  3. 後藤 稠・他編:産業中毒便覧;医歯薬出版株式会社,1992