ローヤルゼリーの副作用について
火曜日, 8月 14th, 2007KW:健康食品・副作用・ローヤルゼリー・Royal jelly・蜂皇漿・王乳・血圧上昇・コレステロール上昇・甲状腺
Q:ローヤルゼリーが直接的に血圧を上げる作用はないとのことですが、コレステロールが上がってしまうことはありますか?。甲状腺への作用もあるみたいですが、どうでしょうか?
A:ローヤルゼリーは雌の働きバチが花粉を摂食し、体内で給餌用の蛋白質に合成し、喉頭腺から分泌するミルク状物質で、ハチの幼虫の生後3日間の食糧とされるが、女王バチになる幼虫に対しては、その後も成長のための食糧として使われる。
ローヤルゼリーは細かい不純物を除去する濾過工程を経て凍結乾燥等により調製されるが、その成分は蜜・花粉等を採取する花の種類・土地・気候によっても異なる。
- 同意語:[英]Royal jelly、 [中国]蜂皇漿、王乳、 [学名]Royal jelly。
- 区分:非医薬品。
ローヤルゼリーは古来「不老長寿の薬」として珍重されており、「若返り作用で更年期障害に有効」、「体質を改善する」、「免疫機能を向上させる」等の惹句が掲げられている。
しかし、ヒトでの有効性について、信頼できるデータは見当たらないとする報告も見られる。また安全性については、アミノ酸類が豊富に含まれ、良質な蛋白質を構成し、脂肪酸など各種の微量成分を含んでいるとされており、各種のアレルギー反応が起こる可能性が否定できないため、喘息やアトピーの患者では摂取を避けるべきだとする報告が見られる。
また安全性に関する信頼できる資料が十分でないことから、妊娠中・授乳中の摂食は回避すべきであるとされる。
- 成分:水分:60-70%、粗蛋白質:12-15%、糖分:10-16%、脂質:3-6%、その他vitamin B1・B2・B6、ナイアシン、パントテン酸、vitamin A、C、E、塩類、アミノ酸等の低分子から構成されているが、主な成分は未詳である。一般に活性成分として認められているのは、ヒドロキシデセン酸 (10-ヒドロキシデセン酸、10-Hydroxy-2-decenoic Acid)で、熱に非常に安定で、ローヤルゼリーの他の成分が劣化するのに、化学的にそのまま残っている。10-Hydroxy-2-decenoic Acidの含有量は生のローヤルゼリー中で1.7-2.1%程度であり、乾燥品では6.27%程度であると報告されている。
- 有効性:循環器・呼吸器、消化器系・肝臓、糖尿病・内分泌、生殖・泌尿器、脳・神経・感覚器、免疫・がん・炎症、骨・筋肉、発育・成長、肥満等に対するヒトでの有効性を示す評価はされていないとする報告が見られる。
試験管内・動物他での評価
- イヌの大腿部動脈に対して一過性の血管拡張作用-アセチルコリンの存在による。
- マウスに移植した腫瘍・白血病に対する強力な成長阻害作用があり、これは腹膜のマクロファージの食作用を強めることによるものである
- 数種のバクテリアに対し、試験管内及び動物実験で弱-強度の抗菌作用を示すが、この作用は10-Hydroxy-2-decenoic acidによるものと考えられる。
- ローヤルゼリーの有効性について信頼のおける情報は不足しており、その評価のためにはより多くのデータの蓄積が必要である。高脂血症患者においてはコレステロール値を低下させる可能性があるという予備的な結果はある。
安全性
- 安全に関する信頼できる資料は十分でない。妊娠中・授乳中の使用は避ける。
- 経口摂取による副作用は、アレルギー体質でない人ではほとんど発現しない。しかしアトピー・喘息の既往者においては、各種アレルギー反応(掻痒、蕁麻疹、湿疹、まぶたや顔の浮腫、関節炎、鼻漏、呼吸困難、喘息)が高頻度で起きる。重篤な場合には、喘息発作に陥る、アナフィラキシー反応を引き起こし、死に至ることもある。
- ローヤルゼリー摂取後に出血性の大腸炎を惹起した1例報告。腹痛、出血をともなう下痢、結腸粘膜の浮腫と出血症状がみられたが、ローヤルゼリー摂取を中止し対症療法を行ったところ、中止後2週間で症状は改善した。
- 外用では、皮膚のかゆみや炎症の憎悪、接触性皮膚炎があらわれることがある。
- 摂取量が多すぎると中毒を招くことがある。
ローヤルゼリーは食品であり、その意味では副作用という概念は該当しない。
但し食品といえども、過剰摂取によって不具合が発現することが考えられる。
更に製品によっては不純物等の混入も考えられるため、ローヤルゼリーとして一括して論じることはできないのではないかと考えられる。
[015.9.ROY:2006.2.25.古泉秀夫]
- 奥田拓道・監修:健康・栄養食品事典-機能性食品・特定保健用食品-;東洋医学舎,2004・2005
- 古泉秀夫・編著:わかるサプリメント-健康食品Q&A;JHO,2003
- http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail52lite.html,2006.2.25.