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リタリンの副作用-ヘモグロビンの破壊

火曜日, 8月 14th, 2007

KW:副作用・リタリン・塩酸メチルフェニデート・methylphenidate hydrochloride・ヘモグロビン破壊・赤血球減少

Q:リタリンの副作用としてヘモグロビンの破壊は報告されているか

A:リタリン錠・散(ノバルティス)は塩酸メチルフェニデート(methylphenidate hydrochloride)の製剤で、添付文書(2002.11.改訂)に記載されている血液関係の副作用は『血小板減少性紫斑、白血球減少、血小板減少、貧血』のみである。また、第一次再評価時の文献調査、承認時までの調査、承認時以降の調査(昭和53年10月3日-昭和56年10月2日まで実施)においても『貧血』以外の報告は見られていない。

多剤併用中に副作用が発現したとすれば、各併用薬剤について個別に副作用の調査をするとともに、被疑薬の投与を中止する等の処置を行わない限 り、本剤と副作用の因果関係を推論することは難しい。

また、本剤によるどの様な症状を『ヘモグロビン破壊』としたのかが不明であり、詳細な調査は困難である。

薬剤の副作用としての貧血症について『血液の酸素運搬機能が減少した状態である。これによって末梢の組織は低酸素状態になる。これはヘモグロビン濃度の低下及び赤血球数減少に起因すると考えられる。

医原病としての貧血症には、溶血性貧血と巨赤芽球性貧血の二つの型がある。』とされている。本剤添付文書中の標記は単に『貧血』であり、どちらとも判断しかねるが、貧血との関連でヘモグロビンの減少等が見られる可能性は否定できない。

なお、ヘモグロビン血症(血色素血症)について、次の報告がされている。

『血漿中にヘモグロビン量が増加した状態で、主に血管内溶血を生じたときに出現する。正常では血漿ヘモグロビンは5mg/dL以下(0.3mg/dL程度)であるが、発作性夜間ヘモグロビン(血色素)尿症、発作性寒冷ヘモグロビン(血色素)尿症、行軍血色素尿症、異型輸血、赤血球破砕症候群などで増加する。血漿中の遊離ヘモグロビンは、まずハプトグロビンと複合体を形成し網内系で処理させ、飽和後はヘモグロビン血症として循環し、腎からヘモグロビン尿として排泄される』。

[065.MET:2004.7.6.古泉秀夫]


  1. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2004
  2. リタリン錠・散添付文書,2002.11.改訂
  3. リタリン錠・散インタビューフォーム,1996.12.
  4. 医学大辞典;南山堂,1992
  5. 森 昭胤・監訳:薬物による予期せぬ作用-生化学・薬理学テキスト-;じほう,2003