KW:健康食品・プエラリアミリフィカ・ Pueraria mirifica・白ガウクルア・White kwao keur・赤ガウクルア・Butea superba・イソフラボン・フィトケミカル
Q:TVの娯楽健康番組で話題にしているプエラリア・ミリフィカとはどの様なものか。
A:プエラリア・ミリフィカは、タイ北部を中心とする山岳地帯に自生するマメ科の多年性草本で、根が大きな塊状になるのが特徴であるとされている。
学名:Pueraria mirifica。
タイでは白ガウクルア(英名:White kwao keur)と呼ばれ、その塊根は若返りの薬として摂取されていたと報告されている。また、食用としても使用されていたとする報告もみられる。従前は赤ガウクルア(学名:Butea superba)と呼ばれる植物と混同されていたが、現在では違う植物として区別されている。日本でよく知られている葛(クズ、学名Pueraria lobata)の近縁種とされる。
娯楽健康番組におけるPueraria mirificaの番宣惹句は、「豊胸」・「美肌」・「若返り」・「強壮」・「不妊」・「更年期」・「骨粗鬆症あるいは高脂血症」等がみられる。
但し、ヒトにおけるPueraria mirificaの有効性については、更年期症状の緩和を示唆する報告があるが、その他については十分な情報は見当たらない。ヒトにおける安全性については、貧血や肝機能検査値の変動が認められたという報告がある。強い女性ホルモン様物質を含有する可能性があることから、安易に利用せず、特に妊娠中・授乳中・小児の摂取は避けるべきであるとする報告がされている。
Pueraria mirificaの含有成分については、polyphenoの一種であるisoflavone配糖体であるプエラリン(puerarin)、ダイズイン (daidzin)が存在する。その他、ダイゼイン(daidzein)、ゲニステイン(genistein)などのイソフラボンやクメスタン誘導体 (coumestane誘導体)であるクメステロール(coumestrol)等のフィトケミカル(phytchemical)が存在する。
isoflavone配糖体 |
プエラリン(puerarin)、ダイズイン(daidzin) |
isoflavone |
ダイゼイン(daidzein)、ゲニステイン(genistein) |
coumestane誘導体 |
クメステロール(coumestrol) |
isoflavonoid系物質 |
ミロエステロール(miroestrol)(含量0.002%程度) |
植物性estrogenであるmiroestrolは、その女性ホルモン様の活性の強さから、1960年の発見当初より医薬品用として研究されたが、効果が出るのに時間がかかること、使用中止後直ちに効果が終了しないことなどから、医薬品としての開発が中止された経緯があるとの報告がみられる。
miroestrolは、植物起源の女性ホルモン作用物質であり、強いエストロゲン作用を示す。その強さは卵胞ホルモンであるエストラジオール(estradiol)や他の治療用エストロゲン薬物と同等の強さを示す等の報告がされている。
なお、phytchemicalであるisoflavoneの摂取について、厚生労働省医薬食品局食品安全部から下記の資料が発出されている。
平成18年2月2日
厚生労働省医薬食品局食品安全部
新開発食品保健対策室長
大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&Aについて
1.食品安全委員会では、厚生労働省の依頼を受け、大豆イソフラボンを関与成分とする特定保健用食品の安全性評価を行い、現在、安全性評価結果の報告書として「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」の取りまとめの作業が行われているところです。
2.今回の大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価においては、これまでの長い食経験を有する大豆あるいは大豆食品そのものの安全性を問題としているのではなく、大豆イソフラボンのみを通常の食生活に上乗せして摂取する場合の安全性が検討されたものです。
3.厚生労働省では、大豆及び大豆由来食品等に関する正確な情報提供を行うため、今般、大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A(PDF:197KB)を作成し、厚生労働省のHPに掲載することとしましたので情報提供いたします。
4.大豆及び大豆由来食品等は、良質のタンパク質源であるだけでなく、カルシウム等にも富む重要な栄養源ですので、厚生労働省では、広く国民の皆様に、食生活の中で他の食品と組み合わせてバランスよく食べることをお勧めしているところです。
(以下一部抜粋)
問10:子どもに大豆イソフラボンを含む食品を食べさせても大丈夫ですか。また、妊婦についてはどうですか。
[1] 子どもについてはどのくらいの大豆イソフラボンの摂取であれば心配がないのか、妊婦についてはどのくらいの大豆イソフラボンの摂取であれば胎児に影響がないのか、現時点では科学的に明らかになっていません。
そのため、子どもや妊婦が、日常の食生活で食べている「伝統的な大豆食品」に加えて、特定保健用食品などにより、日常的な食生活に上乗せして大豆イソフラボンを摂取することは、推奨されていません。
[2]豆腐、納豆、煮豆、みそなどの「伝統的な大豆食品」については、大人と同様に、日常の食生活の中で他の食品とともにバランスよく食べることに気をつければ、心配する必要はありません。
問12:厚生労働省では今後どのような対応をとりますか。
[1] 現段階では、食品安全委員会新開発食品調査会において、議論されているところですので、議論が終了し、厚生労働大臣に評価結果が通知された段階で、食品安全委員会、農林水産省など関係府省と連携し、必要な対応を図ることとしています。
[2] 特定保健用食品の表示等についても、食品安全委員会の評価結果を踏まえ、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会において検討し、必要な対応を図る予定です。
いずれにしろPueraria mirificaには、植物起源の女性ホルモン作用物質であり、強いエストロゲン作用を示すとされるmiroestrolを含有することからその摂取量については十分注意することが必要である。
原則的にいえば、生命維持物質としての摂取ではないため、摂取することで発現する問題と摂取しないことで発現する問題点を考量するとき、特に摂取の必要があるものであるとは考えられない。
[015.9.PUE:2006.5.2.古泉秀夫]
- http://www.shiratori-pharm.co.jp/paten/patent02_01.html,2006.5.1.
- http://www.prepremama.net/supple/pue.htm,2006.5.
- 奥田拓道・監修:健康・栄養食品事典 2002-2003改訂新版;東洋医学舎,2002
- http://www.b-health.jp/material/ingredient.html,2006.5.1.
- http://chatnet.client.jp/Pueraria/,2006.5.1.
- http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail673.html,2006.5.1.
- http://www2.odn.ne.jp/~had26900/topics_&_items2/about_Guaokrua.htm,2006.5.1.
- 廣川薬科学大辞典 第3版;廣川書店,2001