トップページ»

目薬の木について

月曜日, 8月 13th, 2007

Q:民間薬として使用されている目薬の木の薬効、使用方法等について

A:メグスリノキ(和名:目薬木)は、学名をAcerNikoenseMaximowiczといい、カエデ属かえで科に属する落葉広葉樹である。日本特産であるため、漢名はない。学名に「Nikoense」があるのは最初に発見されたのが「日光」だからである。

本州山形、宮城県以南、四国、九州に分布し、湿気のある谷間、山の中腹などの暖傾斜地生え、時に植栽される落葉高木。『長者木』、『三ツ葉花木(ミツバハナノキ)』、『千里眼の木』の別称がある。

  • 薬用部分:樹皮・小枝。春?夏に樹皮、小枝を採集し、水洗いした後、日干しにする。
  • 成分:樹枝、小枝にフェノール配糖体のエピロードデンドリンを含む。
  • 薬効・薬理:薬理効果の詳細については不明であるが、民間で目薬として内服、外用するほか、肝臓疾患等に効果があるとされている。その他、利尿作用が報告されている。
  • 使用法:目薬に、樹皮3?5gを煎じて洗眼する。また1日量15?20gに300mLの水を加え、1/3量になるまで煎じつめて服用してもよい。この煎剤は肝臓疾患にもよいといわれる。
葉部 木部 樹皮
tripenoide α-アミリン

β-アミリン

  α-アミリン
sterol β-sitosterol配糖体 β-sitosterol及びその配糖体 β-sitosterol及びその配糖体
flavonol quercetin及びその配糖体[フラボン配糖体のアグリコンである。]    
安息香酸誘導体 エラーグ酸    
タンニン成分 ゲラニイン(ゲンノショウコ含有成分:葉成分の全体の3%)   catechin[多くの植物中に見いだされ、タンニンの母体である。]
クリマン誘導体   scopoletine scopoletine
配糖体   アセロサイドIエピーロトデンドリン アセロゲニン

エピーロトデンドリン

  ロドデンドロール   メチールヘアトマット

ロドデンドロール

以上の成分は調査の範囲内であり、有効成分として「ロドデンドロール」を挙げる資料も見られるが詳細は不明であるとされている。

なお、民間薬として注目されていたメグスリノキを利用した健康飲料、煎じ用の小枝チップ、お茶等が平成6年群馬県中之条町沢田農協-中之条営林署との共同開発で製品として市販されている。

  • 「肝太くん」:健康飲料-メグスリノキエキス+ローヤルゼリー等を配合したドリンク剤(原材料:メグスリノキエキス・アカシヤハチミツ・甘草エキス・ローヤルゼリー)。
  • 「肝太くん(新茶)」:メグスリノキの新葉を採取し、緑茶に加工し、ティーバックにしたお茶。(原材料:メグスリノキ新葉)
  • 「カンコちゃん」:苦い味の「肝太くん」にリンゴ果汁、梅果汁を加えマイルドに加工したドリンク(原材料:メグスリノキエキス・リンゴ果汁・梅果汁・アカシアハチミツ・ブドウ糖・果糖液糖・甘草エキス・ローヤルゼリー)

[015.9.ACE:2000.3.3.古泉秀夫]


  1. 三橋博・監修:原色牧野和漢薬草大図鑑;北隆館,1988
  2. 伊澤一男:薬木<ログスリノキ>;マキノ出版,1995
  3. 林野庁財団法人林野弘済会HP,1998.9.25.