ポドフィリンの廃棄について
月曜日, 8月 13th, 2007KW:物理・化学的性状・ポドフィリン・podophyllin・廃棄・廃棄法・樹脂様物質・ポドフィルム脂・podophyllotoxin
Q:尖圭コンジロームの治療用としてポドフィリン塗布液の調製を行った。作業中に清拭用として使用した紙等の廃棄法について
A: ポドフィリン(podophyllin)は、ポドフィルム根(podophyllum rhizome)から抽出された樹脂様物質(ポドフィルム脂:podophyllin resin)のことである。ポドフィルム根は北米、カナダに自生するメギ科植物であるPodophyllum peltatum L.の根茎である。
本品はpodophyllotoxin等の数種のリグナンを含み、これらを主成分とするポドフィルム脂は下剤として用いられる。ポドフィロトキシン誘導体は、抗腫瘍活性を示す。
podophyllotoxinは、Podophyllum peltatum L.の根茎よりそのβ-D-グルコシドとして得られる。抗腫瘍活性を有するが、コルヒチン同様にチューブリン二量体に結合することにより細胞に影響を与えるものと考えられている。
podophyllinは試薬として市販されているが、その取扱いは普通薬である。その他の注意事項としては『冷蔵品(2-10℃)』とされている。なお、podophyllotoxinは毒性のシンボルマークが附されており、飲み込んだり、吸入したり、あるいは皮膚に触れると有害であるとされている。
podophyllin安息香酸チンキ塗布時の局所性の副作用として灼熱感、疼痛を伴う潰瘍が報告されている。また局所適用時の全身性の副作用として、過剰量のpodophyllin製剤の疣贅への塗布や注入で、致死性や致死性に近い副作用が数多く報告されている。これらの副作用は主に中枢神経系への影響であり、昏睡、呼吸抑制あるいは心血管系発作が起こるとされている。また、生殖毒性と変異原性の問題があるとする報告もある。
以上の調査結果からpodophyllinの廃棄について、特に法的な規制がされているとする資料は検索できなかったが、人体への接触を避けるようクラフト紙の袋等に入れて焼却処分することで特に問題はないと思われる。
[014.4.POD:2005.5.10.古泉秀夫]
- 山田治美:DI室Q&A-ポドフィリンによる尖圭コンジローム治療;治療学,37(8):870-872(2003)
- 薬科学大辞典 第3版;広川書店,2001
- 古泉秀夫・代表編著:医薬品情報Q&A[6];株式会社ミクス,1990
- Wako Chemicals 33rd Ed.,2004