フェノキシエタノールについて
月曜日, 8月 13th, 2007KW:薬名検索・フェノキシエタノール・phenoxyethanol・phenoxyethanolum・抗菌保存剤・消毒剤・添加物・医薬 品添加物・香粧品
Q:フェノキシエタノールとはどの様なものか
A:フェノキシエタノールについて、次の通り報告されている。
一般名 | phenoxyethanol[BP]・phenoxyethanolum[PhEur] |
別名 | ethyleneglycol monophenyl ether;β-hydroxyethl phenyl ether;1-hydroxy-2-phenoxyethane;phenoxetol;β-phenoxy-ethyl alcohl |
その他 | 2-Phenoxyethanolの標記で、別名としてβ-Phenoxyethanol、ethyleneglycol monophenyl ether、フェニルセロソルブとする報告が見られる。 |
示性式・分子量 | C8H10O2=138.16(又は138.17)。 |
本品はグリコールエーテルの一種である。
分子内にフェノキシ基とヒドロキシエチル基をもち、各種化学品の優れた溶媒となる。
その他工業用中間体として各種製品の原料に広く使用されている。また緑膿菌に対して殺菌作用をもち香粧品分野にも利用されている(化粧品種別許可基準,1994に収載)。
用途分類 | 抗菌保存剤・消毒剤 |
性状 | phenoxyethanolは、僅かに芳香を有する無色透明な粘稠な液体。焼けるような味がある。1%v/v水溶液のpH6.0。
自動発火温度:135℃ 沸点:245.2℃ 引火点:121℃(開封) 融点:14℃。 |
本品は広いpH域でPseudomonas aeruginosaの種族に対し抗菌保存の効果があるが、Proteus vulgaris及び他のグラム陰性菌に対しては活性は弱い。
他の保存剤、例えば、パラベン類との併用でしばしば用いられ、より広い抗菌活性スペクトルが得られるとする報告が見られる。
安定性 | phenoxyethanolの水溶液は安定で、高圧蒸気滅菌器でおそらく無菌化される。 バルクも安定であり、密閉容器中で冷所、乾燥した場所に貯蔵すべきである。 |
安全性 | phenoxyethanolは口、舌及び他の粘膜に局所麻酔効果を生じる。純品は皮膚及び眼に適度の刺激性がある。動物実験では 10%v/v溶液はウサギの皮膚に刺激を与えず、2%v/v溶液はウサギの眼に刺激を与えなかった。 |
微生物 | MIC(μg/mL ) | Aspergillus niger ATCC16404(黒色麹菌クロカビ)Candida albicans ATCC 10231(真菌)
Escherichia coli ATCC8739(大腸菌) Pseudomonas aeruginosa ATCC9027(緑膿菌) Staphylococcus aureus ATCC6538 (黄色ブドウ球菌) |
33005400
3600 3200 8500 |
---|
製剤への応用 | phenoxyethanolは化粧品及び局所医薬品製剤中に0.5-1.0%濃度で用いられる抗菌保存剤である。牛痘種 (vaccines、ワクチン)の保存剤としても用いられる。治療的には2.2%溶液又は2.0%クリームが表面の傷及び火傷の消毒剤として用いられるの報告。 phenoxyethanolの抗菌活性スペクトルは狭いので、しばしば他の保存剤と併用して用いられる。 |
[011.1.PHE:2003.10.21.古泉秀夫]
- 永井 恒司・監修:医薬品添加物ハンドブック;薬事日報社,2001
- 14303の化学商品;化学工業日報社,2003