ピメクロリムスについて
月曜日, 8月 13th, 2007KW:薬名検索・アトピー性皮膚炎治療薬・ピメクロリムス・pimecrolimus・Elidel・アスコマイシン・ascomycin
Q:アトピー性皮膚炎治療薬とされるピメクロリムスについて
A:アトピー性皮膚炎治療薬・局所用ピメクロリムス(pimecrolimus)とする報告がされている。
pimecrolimus[商:Elidel(Novartis)日本未開発]は、アスコマイシン(ascomycin)から誘導されたマクロライドで、T-リンパ球による前炎症性サイトカインの産生を阻害し、皮膚肥満細胞及び好塩基球から炎症性メディエーターが遊離されるのを防ぐ。
pimecrolimusは皮膚萎縮を起こさず、広範な皮膚の炎症部位に塗布しても吸収は僅かである。
tacrolimusとpimecrolimusを比較した動物実験では、皮下投与による全身性の免疫抑制効果は、pimecrolimusがより大量の薬物を必要とした。
中程度のアトピー性皮膚炎を有する成人患者34例を対象とした無作為化試験で、pimecrolimus 1%クリーム又はその基剤のみを1日2回3週間、狭い範囲(body surface areaの1-2%)に塗布したところ、塗布部位におけるアトピー性皮膚炎の症状は72%程度に改善が見られたが、基剤のみの場合10%程度の改善であった。改善は治療開始2日後より見られた。
body surface areaの5-30%を占める中等度から重症のアトピー性皮膚炎を有する成人患者260例を対象とした研究で、0.05%-pimecrolimus、 0.2%-pimecrolimus、0.6%-pimecro-limus、1.0%-pimecrolimus、基剤単独及び中等度ステロイドの betamethasone-17-valerate 0.1%-クリームを1日2回、最大3週間まで投与して比較した結果、高濃度のpimecrolimus 3剤は基剤単独よりはいずれも有効で明らかな用量反応関係が見られたが、いずれの濃度のpimecro-limusも、局所ステロイドほどの効果はなかった。
pimecrolimusクリーム使用初期は軽度から中程度の灼熱感、温感又は刺痛を伴う一過性の局所刺激が起こり易い。光線過敏症に注意。
イギリスのNICE(国立中央臨床研究所)は本日(2004年8月26日)、イングランドとウエールズのNHS(国民健康サービス機関)へ、成人の中程度から重症のアトピー性湿疹に対するタクロリムスとピメクロリムスの使用ガイダンスを送付した。
また、子供と成人のアトピー性湿疹の治療として用いられる外用ステロイドの使用頻度についてのガイダンスを発した。NICEはこのガイダンスの中で、タクロリムスは、中程度から重症のアトピー性湿疹の成人と子供でステロイド外用薬が効かなくなっている人、あるいはステロイドを続けることで副作用、とりわけ回復できない皮膚の薄層化とあざ(皮膚萎縮)のリスクが十分考えられる人、これらの人々に対して第2選択肢の薬剤として使うことができると勧告している。このガイダンスはまた、ピメクロリムスは、子供の顔と首にあるアトピー性湿疹に対し、上記と同じ判断基準を満たす場合に第2選択肢の薬剤として使うことができると勧告している。
[011.1.PIM:2005.2.1.古泉秀夫]
- アトピー性皮膚炎治療薬・局所ピメクロリムス(Elidel):The Medical Letter <日本語版> ,18(11):40(2002)
- アトピー性湿疹の塗り薬について勧告:http: //www.h3.dion.ne.jp/~kelkans/tacrolimus.html,2005.2.1.