バイアグラの処方せんによる調剤
日曜日, 8月 12th, 2007KW:法律・規則・バイアグラ・クエン酸シルデナフィル製剤・処方せん・自費診療・要指示医薬品
Q:バイアグラは処方せんによる調剤が義務づけられているがその根拠になる文書はあるか
A:次の指示文書が発出されている。
保険発第20号
平成11年3月9日
都道府県民生主管部(局)
保険主管課(部)長 殿
国民健康保険主管課(部)長
厚生省保険局医療課長
クエン酸シルデナフィル製剤に係る取扱いについて
平成11年1月25日付けで薬事法上承認された標記医薬品(バイアグラ錠25mg及び同50mg)については、薬事法に基づく要指示医薬品に指定され、同日付け医薬発第90号医薬安全局長通知により、外国において市販後に死亡例を含む重篤な心血管系等の有害事象が報告されていること等の理由により、医師の処方せんに基づく投与又は販売を義務付けているところである。
本製剤については、保険給付の対象としないこととし、これに伴い、本製剤に係る処方、本製剤による重篤な副作用等患者の健康被害を防止する観点から行われる検査等の一連の診療行為及び調剤行為についても、保険給付の対象とはならないこととなるので、関係者に対し、周知徹底を図られたい。
また、保険給付の対象とはならない診療行為及び調剤行為については、保険診療に係る診療録又は調剤録とは明確に区別することも併せて周知されたい。
更に関連する通知として、次の文書が発出されている。
平成11年3月3日
各都道府県衛生主管部(局)長 殿
厚生省健康政策局指導課長
クエン酸シルデナフィル製剤について(通知)
標記については、平成11年1月25日に薬事法に基づき製造(輸入)の承認がなされた勃起不全治療薬(別添1)であり、また、同法に基づく要指示医薬品として指定されたところである(平成11年1月25日医薬発第87号;別添2)。
本剤は、使用上の注意において、硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させることがあるので、本剤投与の前に、硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤が投与されていないことを十分確認し、本剤投与中及び投与後においても硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤が投与されないよう十分注意するよう警告がなされ、また、硝酸剤または一酸化窒素(NO)供与剤についても使用上の注意において「クエン酸シルデナフィルを投与中の患者」を禁忌とするよう指示がなされた(平成11年1月 25日医薬安第5号;別添3)ところである。
このことから、虚血性心疾患の発作を起こして救急医療機関を受診した救急患者への対応等について、今般、日本救急医学会及び日本循環器学会より提言がまとめられた(「バイアグラに関する日本救急医学会・日本循環器学会の提言」平成11年2月22日;別添4)ので、参考までに送付する。
貴職におかれては、今後、貴管下の各救急医療機関等に対して、上記の点を十分に配慮し、消防機関とも十分連携を取りつつ、救急医療体制の確保を図るよう、お願いする。
医 薬 企 第20号
医薬審第 456号
平成11年3月3日
各都道府県衛生主管部(局)長 殿
厚生省医薬安全局企画課長
厚生省医薬安全局審査管理課長
クエン酸シルデナフィル製剤について(通知)
標記については、本日付け指第17号により硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤との併用等に関して通知されたところであるが、その販売及び管理に当たっては、厳重かつ慎重な対応が求められるものである。
このため、本年1月25日付け医薬発第90号により、管下の卸売販売業者、薬局等に対して、その販売及び管理についての周知徹底方依頼したところであるが、薬局における標記医薬品の販売又は授与は、医師の処方せんに基づき個人の患者の状況に応じて調剤されたものに限って認められるものであり、薬局は医師の処方せんの交付を受けた者以外の者に対して販売することはできないことにつき、併せて管下医療機関等に対して周知徹底されるようお願いする。
以上の発出文書の要点は下記の通り。
- 保険給付の対象とはならない(また、本製剤に係る処方、本製剤による重篤な副作用等患者の健康被害を防止する観点から行われる検査等の一連の診療行為及び調剤行為についても、保険給付の対象とはならない)。
- 保険給付の対象とはならない診療行為及び調剤行為については、保険診療に係る診療録又は調剤録とは明確に区別すること。
- 医師の処方箋が必要 [生活改善薬として、同様な取り扱いにある「ニコレット*」については、「指示せん」でも投与が可能であるが、本剤は、指示せんによる投与はできない(要指示医薬品)]
- 硝酸剤との併用は禁忌(→日本救急医学会及び日本循環器学会より「バイアグラに関する日本救急医学会・日本循環器学会の提言」(平成11年2月22日)が出されている)。
*「ニコレット*」については、2001年6月20日OTCとして承認取得(ただし、指定医薬品)。
*2005年4月1日以降、『要指示医薬品』は『処方せん医薬品』に変更された。
[615.1.SIL: 2004.7.13.古泉秀夫]
- https://ksweb.medks.com/lib/tpc/htm/tpc010905.htm,2004.7.13.