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パップ剤の名称の由来について

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:語彙解釈・パップ剤・名称・由来・cataplasms・poultice・thick pap・パン粥

Q:パップ剤の名称の由来について

A:パップ剤について、次の報告がされている。

パップ剤(cataplasms)

パップ剤は、通例、医薬品の粉末と精油成分を含むもので、泥状に製するか、又は布状に展延形成して製した湿布に用いる外用剤である。従前広く使用されていたカオリンパップを主体とした定義となっており、用時リント布等に展延後患部に貼付し、湿布又は冷湿布に用いる泥状の剤形(泥状パップ剤)とされていたが、11局から現在主流となっている形成パップ剤を定義に加えた。なお、USP・BPには定義がない。

本剤は古くから用いられている剤形で、記録に残る最も古い製剤の一つといわれている。パップ剤は本来、用時加温して熱いうちに布上に厚く展延し、皮膚に適用して水分と熱の存在下に薬物を作用させ、炎症又は誘導刺激作用による疼痛寛解を目的とした製剤である。

その他、『パップ剤(cataplasma《poultice》):医薬品の粉末と精油成分を混和し泥状に製した湿布用外用剤。』とする報告も見られる。

  • cataplasm:パップ[剤]、湿布[剤]。軟らかい薬物を外用する投薬法。cataplasma=cata+plasma。poultice。cata=下方を意味する連結語。反を意味する接頭語。plasma=リンパ液の液体部分等。
  • poultice:L.puls(pult-)、a thick pap、湿布、パップ[剤]。種々の粉末やその他の吸湿性物質を油性又は水性の液体で湿したマグマ、あるいは粥状物質。通常、皮膚表面に直接貼付して使用する。軟化剤、緩和剤、又は刺激薬を用い、皮膚や皮下組織に対し、逆刺激効果を有する。
  • thick:層。厚み。
  • pap:パン粥(ミルクか水に浸したパンくずのように軟らかい食物)。

以上の各報告から判断して、最も古いパップ剤である『カオリンパップ』の外観が、パン粥を一定の層に展延して貼付するように見えたことからパップ剤の呼称が用いられたものと考えられる。あるいは当初『パン粥』そのものを布に展延して、湿布剤として使用していた可能性も考えられる。

[615.8.PAP:2003.9.11.古泉秀夫]


  1. 第十四改正日本薬局方解説書;廣川書店,2001
  2. 最新医学大辞典 第2版;医歯薬出版株式会社,1996
  3. 和田攻・総監修:医学生物学大辞典;朝倉書店,2001
  4. ステッドマン医学大辞典 改訂第4版;メジカルビュー社,1997