トップページ»

点眼剤の副作用-霧視

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:副作用・霧視・点眼剤・点眼薬・かすみ目・抗コリン作用・アドレナリン遮断作用・添加物

Q:副作用として『霧視』の報告されている点眼薬

A:薬剤に起因する副作用である『霧視(かすみ目)』について、『一過性のもので、持続しても1週間程度であるが、抗精神病薬の有する抗コリン作用及びアドレナリン遮断作用により、遠方眼が惹起されるが、その時の毛様筋の弛緩に由来する』とする報告がみられる。また、水晶体混濁の前駆症状として『霧視』が報告されている。

その他、角膜上皮、角膜実質が障害され、角膜に炎症が生じた状態(角膜炎)について、薬剤毒性によるものと、薬剤により感染症が誘発されて生じる場合とがあるが、軽症の場合、異物感、充血、眼脂。中等度から重症では著しい眼痛を伴い、霧視、視力低下が生じる。更に角膜混濁の進行例では、羞明、霧視を訴えることもあるの報告がされている。

なお、点眼剤に起因する『霧視(かすみ目)』の調査の結果は、下表の通りである。

[分類]一般名・商品名(会社名) 副作用の標記 発現機序等
白内障治療薬 glutathione

タチオン点眼用液
(山之内)

一過性の霧視 発現理由未詳。

本剤は添付錠剤を溶解液(塩化ベンザルコニウム・ホウ酸)に溶解して使用する点眼液で、錠剤中に添加物として炭酸水素ナトリウム・塩化ベンザルコニウム・マクロゴール・亜硫酸水素ナトリウム・エデト酸ナトリウムが配合されていることにより一過性の霧視が発現するのではないかと予測される。

緑内障治療 befunolol hydrochloride

ベントス点眼液(科研)

霧視 発現理由未詳。

類薬で散瞳、調節麻痺に関連する副作用として、霧視等の発現が考えられている。

betaxolol hydrochloride

ベトプティック点眼液
(アルコン)

霧視 発現理由未詳。

類薬で散瞳、調節麻痺に関連する副作用として、霧視等の発現が考えられている。

brinzolamide

エイゾプト1%点眼液
(アルコン)

霧視 発現理由未詳。

本剤の点眼後一時的に眼がかすむことがあるの報告。

bunazosin hydrochloride

デタントール点眼液
(参天)

霧視 発現理由未詳。
類薬で散瞳、調節麻痺に関連する副作用として、霧視等の発現が考えられている。
carteolol hydrochloride

ミケラン点眼液(大塚)

霧視 発現理由未詳。

類薬で散瞳、調節麻痺に関連する副作用として、霧視等の発現が考えられている。

dipivefrin hydrochloride

ピバレフリン点眼液(
参天)

霧視 発現理由未詳。

本剤投与により散瞳、調節麻痺を惹起-羞明、霧視等を訴える患者には症状回復まで自動車等危険を伴う機械の操作従事回避。

dorzolamide hydrochloride

トルソプト点眼液(万有)

点眼直後に見られる眼のかすみ(1.8%) 発現理由未詳。

本剤は添加物としてヒドロキシエチルセルロース・マンニトール等を含有する僅かに粘稠性の製剤であるとされている。

本剤点眼により本剤の粘稠性に由来する一過性のかすみ目が見られると推定。

isopropyl unoprstone

レスキュラ点眼液(上野-藤沢)

霧視 発現理由未詳。

本剤投与中に発現する角膜障害の前駆症状として霧視、異物感、眼痛等の自覚症状とする記載が添付文書中に見られる。

latanoprost

キサラタン点眼液(ファイザー)

霧視 発現理由未詳。

で霧視、異物感、眼痛等の自覚症状は、本剤による角膜障害の前駆症状として発現する可能性が推定されている。

levobunolol hydrochloride

ミロル点眼液(杏林-科研)

霧視 (0.4%) 発現理由未詳。類薬で霧視、異物感、眼痛等の自覚症状は、本剤による角膜障害の前駆症状として発現する可能性が推定されている。
nipradilol

ハイパジール点眼液(興和)

霧視 発現理由未詳。

類薬で霧視、異物感、眼痛等の自覚症状は、本剤による角膜障害の前駆症状として発現する可能性が推定されている。

timolol maleate

チモプトール点眼液(参天)

リズモンTG点眼液(わかもと)

霧視 発現理由未詳。

本剤は持続性点眼液であり、点眼直後眼表面で涙液と接触することにより点眼液がゲル化するため、霧視又はべたつきが数分間持続することがある。

H1遮断薬 levocabastine hydrochloride

リボスチン点眼液(日本新薬)

霧視(感) 発現理由未詳。

本剤による角膜障害が報告されており、その前駆症状として発現する可能性が推定される。

その他 apraclonidine hydrochloride

アイオピジン点眼液(アルコン)

霧視 発現理由未詳。

承認適応外使用(1-2回/日、28日間点眼)時に発現。

[065.MIS:2003.12.16.古泉秀夫・2004.3.15.改訂]


  1. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2003
  2. タチオン点眼液添付文書,2003.4.改訂
  3. アイオピジン1%点眼液添付文書,1999.2.改訂
  4. ビバレフリン0.04%・0.1%添付文書,2003.2.改訂
  5. チモプトールXE0.25%・0.5%添付文書,1999.9.作成
  6. トルソプト点眼液0.5%・1%添付文書,1999.12.改訂
  7. レスキュラ点眼液添付文書,2003.6.改訂
  8. キサラタン点眼液添付文書,2001.1.改訂
  9. ミロル点眼液0.5%インタビューフォーム,2001.1.作成
  10. 高柳一成・編:薬の安全性-その基礎知識;南山堂,2000
  11. 高橋隆一:自覚症状から探る薬の副作用;第一メディカル,2000
  12. 高橋隆一:薬の重大な副作用がわかる本;株式会社ミクス,1998
  13. エイゾプト1%点眼液添付文書,2002.10.作成
  14. リズモンTG点眼液添付文書,2003.2.改訂
  15. リボスチン点眼液0.025%添付文書,2003.7.改訂