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鎮痛剤誘発性頭痛について

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:語彙解釈・副作用・鎮痛剤誘発性頭痛・薬剤乱用性頭痛・Analgesic abuse headache・エルゴタミン誘発性頭痛・慢性連日性頭痛

Q:鎮痛剤誘発性の頭痛があるという新聞記事を見たが、これの原因等について

A:鎮痛薬や頭痛治療薬であるエルゴタミン製剤を頻繁に服用すると、依存性が強まり、かえって痛みに敏感になり、頭痛が連日発生する場合がある。この頭痛を『鎮痛剤誘発性頭痛(薬剤乱用性頭痛)』といい、明け方や早朝に痛むのが特徴で、元の頭痛が片頭痛でも緊張型頭痛でも惹起される。原因の詳細は不明であるが、服用する鎮痛薬に依存性を強める無水カフェイン等が配合されている例が多い。単一成分の薬より複数の成分が配合された薬の方が依存性が高まるという。

その他、頭痛の治療薬として使用している鎮痛剤やエルゴタミン製剤を、過剰・慢性的に使用すると、本来の頭痛とは異なる頭痛が発現する。鎮痛剤 誘発性頭痛(Analgesic abuse headache)、エルゴタミン誘発性頭痛、薬剤乱用を伴う慢性連日性頭痛などといわれる頭痛である。鎮痛剤あるいはエルゴタミンを3ヵ月以上連用すると、月の半分は頭痛をきたすようになり、これらの薬剤の使用を中止すると1ヵ月以内に頭痛が消失する。

鎮痛剤乱用による頭痛は、アスピリン(50g以上/1ヵ月)又は他の鎮痛剤、NSAIDsを相当量使用した際に起こるとされている。エルゴタミンによる頭痛は、連日2mg以上のエルゴタミンを服用した際に起こり、頭部全体の拍動性の頭痛として発現、発作性が不明確、随伴症状を伴わないことで片頭痛と区別できるとされている。

鎮痛剤、エルゴタミンの使用を中止すれば、本来の頭痛に戻るが、患者は頭痛がするから鎮痛剤を服用しているわけで、薬の服用が頭痛を悪化させることを説明しても、なかなか理解が得られず、適切な治療ができない。頭痛薬長期乱用に伴う頭痛の原因となる薬剤として、鎮痛薬、エルゴタミン、カフェイン、オピオイド、バルビツレート、トリプタン系薬剤が挙げられる。治療の原則としては、原因薬剤の中止、薬剤離脱症状に対する治療、薬剤乱用の原因となった頭痛の予防、患者教育が必要である等の報告が見られる。

[615.8.ANA:2004.6.28.古泉秀夫]


  1. 医療ルネッサンスNo.3342 頭痛の新常識-3- 逆効果 鎮痛薬の乱用;読売新聞,第46007号,2004.4.22.
  2. 日本神経学会:http://www.neurology-jp.org/,2004.4.27.
  3. 清水俊彦:特集-外来で見る女性特有の痛みと薬物療法-「頭が痛い」と訴える患者;薬局,55(6):1961-1970(2004)