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茶葉抽出成分の除臭効果

日曜日, 8月 12th, 2007

Q:医師からラジオでお茶の葉の成分か何かから作ったものを内服させると便の臭いが少なくなることを聞いたが、これは何かの質問を受けた。入院患者で便臭の酷い患者がいるとのこと

A:通常、日本人に飲用されるお茶は、生薬名『茶葉(チャヨウ)』。ツバキ科

のチャノキ(Thea sinensis L.)葉を摘み蒸籠(セイロ)で蒸し酸化酵素の作用を停止し、提供されるもので、ビタミンCが多いことが知られている。

その他、発汗、興奮、利尿作用のあるカフェイン、テオフィリン等のアルカロイド、下痢止めの効果があるチャタンニン、茶の旨味成分としてアルギニン、テアニン等のアミノ酸が含まれている。

その他、茶葉中の成分として、次の報告がされている。

メチルキサンチン類 caffeine(4%)、theobromine、theophylline、adenine、xanthine、methylxanthine類の一部は、タンニンと結合している。
多価フェノール類 特にタンニン(カテコールタンニンが主であるが栽培品種や葉令により10?20%の間で変動)。数多くの単一成分が分離;(?)- epicatechin,4-gallocatechin及びその他のcatechin-gallate類、flavan-3-ol,flavan- 3,4-diol類、theaflavine類のダイマー。procyanidin類(thearubigenin類)のオリゴマー、没食子酸やクロロゲン酸等のようなフェノールカルボン酸
精油 主にモノテルペン-アルデヒドとモノテルペン-アルコールが存在し、300種以上の化合物が検出
その他の成分 多くのフラボノイド類、トリテルペンサポニン類及び主として醗酵の際に初めて生成する揮発性芳香成分。theanine(グルタミン酸の5-エチルアミド)は、茶のアミノ酸における特徴的な成分の一つで、品質評価に用いられる。茶葉中にアルミニウムが蓄積し、古葉中に一部フッ素化合物を高度に含有するものがある。

緑茶はその免疫賦活作用、抗癌作用、活性酸素の生成抑制、健胃、抗菌、解毒、虫歯予防、利尿、眠気覚ましというような多くの効能が報告されているが、近年、脚光を浴びたのはチャタンニン(カテキン)の殺菌作用である。

緑茶がコレラ菌の他、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオに対しても解毒作用があること、MRSAに対しても有効で、更にO-157についても殺菌作用があることが報告されている。緑茶の抗癌作用についての研究も進捗しているが、その抗癌性がepigallocatechin-gallate(エピガロカテキンガレート)によることが確かめられている。

その他、エイズへの効用、緑茶に含まれるビタミンA・C・Eが抗酸化作用を持つほか、カテキンが脂質代謝改善作用とともにSOD様活性作用(抗酸化物質)、アルツハイマー病、糖尿病、心疾患、動脈硬化等への効果もカテキンの効果であるとする報告がされている。上記報告中には、便の除臭効果に関する報告は含まれていないが、健康食品として市販されている商品の中にはOS液(緑茶を主体とした天然食用植物エキス-タンニン、フラボノール等にビタミンを配合)含有製品が市販されている。

*エチケット・ビュー(ダイリン;東京都港区新橋5-14-6  第2秋山ビル)

その他、マッシュルームから抽出した天然成分でシャピニオンエキス及び緑茶エキスを含有する製品も市販されている。

*NIOONE[ニオワン](カンロ株式会社)

シャピニオンエキスについては、次の報告がされている。シャピニオンエキスに含まれるミネラル・アミノ酸・マンニトール・ヘミセルロース等の茸の有効成分により、コレステロール溶解性、血圧降下作用、ウイルスに対する免疫作用があるとされている。悪臭除去効果としてメチルメルカプタン(野菜の腐敗臭・口臭に類似)・トリメチルアミン(魚の腐敗臭、アンモニア臭に類似)に対する消臭効果があると報告されている。

以上は、健康食品であり、治療上の必要があったとしても保険医療機関での取扱は困難であり、患者家族等に購入依頼することが必要である。

なお、承認適応として便臭除去は認められていないが、『葉緑素』含有製剤には、葉緑素の持つ消臭効果により便臭を消去する作用が見られるので、試用してみる価値はある。ただし、この場合、保険請求はできない。

[015.9THE:2000.4.19.古泉秀夫]


  1. 伊澤一男:薬草カラー大事典;主婦の友社,1998
  2. 井上博之・監訳:西洋生薬;廣川書店,1999
  3. 奥田拓道・監修:健康・栄養食品事典;東洋医学舎,2000