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タラの木の薬効について

日曜日, 8月 12th, 2007

?KW:漢方薬・健康食品・タラノキ・タラの木・ウドモドキ・タラッポ・糖尿病・代替医療・伝承医療

Q:糖尿病に効果があるということで現在タラの木を削って服用している、本当に効果があるのか確認して欲しい。

A:タラの木[別名:ウドモドキ、タラッポ]タラノキ属、うこぎ科、怱木(怱は木偏)。Araliaelata(Miq.)Seem.。

薬用部分 樹皮、根皮(怱木皮;ソウボクヒ)。6?8月に樹皮・根皮を採集し水洗い後刻んで日干しにする。
成分 皮・樹皮にはサポニンのα-タラリン、β-タラリン、アラロサイドの他、プロトカテキュ酸、オレアノール酸、コリン、タンニン、β-シトステロール、スティグマステロールなどを含む。葉にはトリテルペノイドのα-ファストシン、β-ファストシンが含まれている。
薬効・薬理 怱木皮の水性エキスは、アドレナリン過血糖、ブドウ糖過血糖、アロキサン過血糖に対して制糖作用がある。煎剤のアドレナリン拮抗作用は、コリンによるもので、β-タラリンには制糖作用がなく、プロトカテキュ酸は正常なウサギに投与すると逆に血糖値が上昇する。日本では民間で健胃、利尿、抗糖尿病薬として糖尿病、腎臓病、胃潰瘍に用いられる。
使用法 糖尿病、腎臓病、胃腸病には、怱木(樹皮・根皮)1日量5?10gに400mLの水を加え、半量になるまで煎じつめて3回に分けて服用する。トゲの部分5?10gを500mLの水で煎じて服用すると高血圧症によいといわれるが、胃腸障害などの副作用に注意を要する。

その他、怱木について次の報告がされている。

  • 怱木根(ソウボクコン):9?10月。根を掘るか、根皮を剥ぎ、日干しにする。風湿を去る。小便を利す、お血を散らす、腫毒を消すの効能がある。リウマチ性関節炎、腎炎による水腫、肝硬化による腹水、急・慢性肝炎、胃痛、淋濁、血崩、打撲傷等を治す。
  • 怱木白皮(ソウボクハクヒ):怱木の樹皮部(二次皮部)。採集1年中。乾燥した樹皮は剥げやすく、ざらざらして縦横にしわがあり、堅い針刺がまばらにある。外面は灰白色から灰褐色、内面は黄白色で光沢がありなめらかである。断面は繊維状。樹枝には密に針刺がある。僅かに香りがあり、噛むと粘液性である。成分:茎皮、根皮はトリテルペノイド系サポニン、タンニン、コリン、精油を含む。薬効と主治:リウマチによる麻痺痛、打撲傷を治す。樹皮と根皮にはいずれも健胃・収斂・利尿・制糖作用がある。糖尿病、腎臓病、胃潰瘍を治す。

以上の各報告からタラの木が、糖尿病の民間療法に使用されているのは事実であるが、糖尿病の場合、治療の不徹底が致命的になる可能性もあり、あくまで補助的な療法に留めるべきである。

なお、本品の有用部分は、樹皮・根皮であり、木質部の幹の部分は、特に薬効は標榜されていない。従って、タラの木を切り取り灰白色部の外皮を水洗いした後、内皮を削り取って刻んだ後乾燥することが必要である。

 [1998.3.31.古泉秀夫]


  1. 三浦博・監修:原色牧野和漢草薬図鑑;北隆館,1988.p.338
  2. 上海科学技術出版社・編:中薬大辞典第3巻;小学館,1985.p.1606,1607.