タンポポの薬理作用
日曜日, 8月 12th, 2007KW:漢方薬・タンポポ・蒲公英・薬理作用・薬効・?タラクサステロール・コリン・イヌリン・ペクチン
Q:タンポポから製造されたもので、糖尿病に有効なものがあると聞いたが、どの様なものか。
A:蒲公英(漢方名:ホコウエイ)の全草にはタラクサステロール、コリン、イヌリン及びペクチン等が含まれる。
同属植物の薬用蒲公英(taraxacumofficinale)の根はタラクソール、タラクセロール、φ-タラクサステロール、タラクサステロール、β-アミリン、スチグマステロール、β-シトステロール、コリン、有機酸、果糖、庶糖、ブドウ糖、グルコシド及び樹脂、ゴム等を含む。
葉はルテイン、ビオラキサンチン、プラストキノン、ビタミンC50?70mg/kg及びビタミンD5?9mg/100gを含む。
花はアルニジオール、ルテイン及びフラボキサンチンを含む。
花粉はβ-シトステロール、5α-スチグマスト-7-エン-3β-オール、葉酸及びビタミンCを含む。
緑色の萼にはプラストキノンを含み、花茎はβ-シトステロールとβ-アミリンを含む。
本品にはこれ以外にコウメストロール、ビタミンB21.43μg/g、カロチン7.7?8.8mg%を含む等の報告がされている。
蒲公英の薬理作用として注射液はinvitroで、黄色ブドウ球菌の耐性菌株、溶血性連鎖球菌に対し比較的強い殺菌作用がある。肺炎双球菌、脳膜炎菌、ジフテリア菌、緑膿菌、プロテウス菌、赤痢菌、チフス菌及びカタル菌にもかなりの殺菌作用がある。
蒲公英抽出液1:400はinvitroで結核菌を抑制するが、煎剤1:100は無効である。1:80の水煎剤はECHO11ウイルス細胞病変を延長緩和する。アルコール抽出物31mg/kgはレプトスピラを殺す作用があり、ある種の真菌にも抑制作用を持つ。
中国以外の研究では、動物に対して利胆作用を持ち、臨床上は慢性の胆嚢痙攣及び結石症に有効である。また利尿作用、特に門脈性水腫に有効であると考えられているが、恐らく植物中に大量のカリウムが含まれているためであろう。また根及び全草を苦味健胃剤や軽い下剤に用いることもある。葉の浸剤を内服するとヘビの咬傷を治療することができ、婦人の乳汁分泌にも有効であるとされる。
その他、白花蒲公英の全草成分について、タラクサステロール、タラキサンチン、タラキシン、コリン、イヌリン、マンニット、アスパラギン、イノシット、パルミチン酸、セロチン酸、オレイン酸、リノール酸、糖類、ゴム質、カリウム塩、カルシウム塩などを含むとする他、利胆、利尿作用、慢性胆嚢痙攣、結石症、門脈性水腫に対し有効で、この作用は植物中に大量に含まれるカリウム塩によると考えられる。
蒲公英は解熱、健胃、消炎、利尿、催乳薬として乳癰、消化不良、眼疾腫痛、皮膚潰瘍、小便不利、感冒、淋疾、乳汁不足などに用いられる。肝臓病、貧血病には全草1日量10gを煎じて服用するとする報告もみられる。
しかし、以上の各報告から判断する限り蒲公英が、直接糖尿病に有効であるとする証明は得られていないといえる。
また、健康食品等について調査したが、調査の範囲内で、健康食品として該当するものは検索できなかった。
[510.FD18.038.TAR][1991.11.18.・1999.4.9.一部修正.古泉秀夫]
- 上海科学技術出版・編:中薬大辞典[4];小学館,1985,p.2418
- 原色牧野和漢薬草大図鑑;北隆館,1988,p.578
- 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:FAX.DI-News,No.233,1992.1.8.より転載