タコ・イカ・エビが原料として使用されている薬剤・健康食品
日曜日, 8月 12th, 2007KW:健康食品・機能性食品・魚介類・イカ・タコ・エビ・タウリン・taurine・キチン・キトサン・動物性食物繊維・創傷被覆保護剤・人工皮膚・アレルギー
Q:アレルギーが心配ということで、薬剤あるいは健康食品で、タコ・イカ・エビが原料として使用されているものの調査依頼があったが、調査可能か。
A:イカ・タコ・エビ等が含有する成分のうち、医薬品原料として使用される成分にタウリンがある。タウリンについては、次の紹介がされている。
- タウリン(taurine):タウリンは1846年Gmelinによって発見された。哺乳動物、魚類、軟体動物、甲殻類等の筋肉中に存在し、ウシ、ヒツジ、イヌ、ヒトの胆嚢にも胆汁酸と結合して存在する。1885年Jamesによって初めて合成された。牛の胆汁及び貝、イカ、タコ等の水性軟体、節足動物の肉汁エキス中に多量に存在している。
現在、医薬品原料として使用されているタウリンは合成品であり、イカ・タコ・エビ等の抽出成分ではないが、タウリンに対するアレルギーがある患者の場合、イカ・タコ・エビ等に存在するタウリンによるアレルギーの発現は予測される。
- キチン・キトサン:エビの殻から抽出された物質に、今まで全く知られていなかった特異的な有用性があることが次々と明らかになり、今やキチン・キトサンは、健康食品の代名詞ともいえる存在になっている。
キチンはエビ、カニ等の甲殻類の外殻やイカ、貝類などの外皮に含まれる多糖類で、消化吸収されない動物性食物繊維であるが、本品は細菌細胞膜やキノコにも含まれると報告されている。
キトサンは、キチンを高濃度の熱アルカリ溶液に浸すと変化してできる物質で、弱い酸に溶ける性質があり、これらを総称してキチン質と呼んでいる。
主成分のキチンの生体親和性、抗菌性、保湿性を利用した人工皮膚の研究・開発の成果が広く知られるようになり、現在では、皮膚の創傷被覆保護剤として欠かせない存在になっている。その後の研究によりキチン・キトサンが、皮膚疾患の外用としてだけではなく、服用によっても治癒効果が高いことが判明し、火傷や創傷による皮膚の再生を促進させる作用が指摘されている。
1992年エビの殻やカニの甲羅に含まれる食物組織・キトサンの血圧上昇抑制効果が新聞で報道されている。その他、現在ではコレステロール低下作用、免疫賦活作用等も報告されている。
高濃度の熱アルカリ処理により精製された食物繊維を健康食品として摂取した場合、イカ・タコ・エビ等に対するアレルギーを有する患者にアレルギーが発現するか否かは、データが入手されていないため判定できない。
いずれにしろ、質問された内容に基づいて調査した結果、現段階で入手できた情報は、上記の通りである。
- 福山 忠男・編:健康食品便覧;食品と科学社,1985
- 症状別健康食品大百科;日正出版,1997