葱根及南蛮毛の薬効・薬理作用について
日曜日, 8月 12th, 2007Q:葱根及び南蛮毛の薬効・薬理について
A:葱根とはウコギ科の植物葱木(AraliachinensisL.)の根又は根皮の異名である。
茎皮、根皮はトリテルペノイド系サポニン、タンニン、コリン、精油等を含む。リウマチ性関節炎、腎炎による水腫、肝硬変による腹水、急・慢性肝炎、胃痛、淋濁、血崩、打撲傷、瘰癧、癰腫を治す。
南蛮毛とはイネ科植物トウモロコシ属に属する玉蜀黍(ぎょくしょくしょ)の雌花の花柱の異名である。玉米鬚(ぎょくべいしゅ)。トウモロコシ(ZeamaysL.)の花柱。
成分として脂肪油2.5%、精油0.12%、植物ゴム質3.8%、樹脂2.7%、苦味配糖体1.15%、サポニン 3.18%、アルカロイド0.05%を含有する他、クリプトキサンチン、ビタミンC、パントテン酸、イノシトール、ビタミンK、シトステロール、スチグマステロール、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、蓚酸等を含む。
[薬理]
- 利尿作用:玉米鬚はヒトに対して利尿作用があり、塩化物の排出量を増加させるが、その作用は比較的弱いものである。この場合、水性エキスのメタノール不溶解部分を透析したものが最も強い利尿作用を持ち、投与経路に係わらず著しい効果を現す。この利尿作用は腎外性のもので、腎臓に対する作用は非常に弱い。
- 血糖降下作用:玉米鬚の醗酵製剤は、ウサギに対し非常に顕著な血糖降下作用を示す。
- 利胆及び止血作用:玉米鬚の製剤は、胆汁の排出を促すと共に、その粘度を下げ、胆汁色素の含有量を低下させるので、利胆薬として再発性慢性胆嚢炎や胆汁排出障害の胆管炎の患者に用いることができる。また、血液の凝固過程を速め、血液中のプロトロンビンの含量を増加し、血小板数を高めるので、止血剤と利尿剤をかねて膀胱及び尿路の結石に応用できる。
- その他、南蛮毛には利尿、血圧降下、胆汁分泌促進作用のあることが報告されている。南蛮毛は利尿、利胆薬として腎疾患水腫性の脚気、肝炎、胆道結石、黄疸等に用いられ、近年、糖尿病、高血圧にも有効であると報告されている。
日本では民間薬として単味で使用され、急性腎炎、妊娠時のむくみに南蛮毛1日量8?10gを500mLの水で煎じたものを3回に分けて服用する等の報告がされている。
[510.FD18.015.4ARA][1991.8.27.・1999.4.2.一部修正.古泉秀夫]
- 上海科学技術出版社・編:中薬大辞典第三巻;小学館,1985
- 上海科学技術出版社・編:中薬大辞典第一巻;小学館,1985
- 三橋博・監修:原色牧野和漢薬草大図鑑;北隆館,1988
- 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:FAX.DI-News,No.156,1991.9.4.より転載