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セロベース錠の粉砕について

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:物理化学的性状・特殊用例・粉末化・錠剤粉砕・セロベース錠・ドンペリドン・domperidone

Q:セロベース錠の粉末化又は簡易懸濁法による調剤は可能か

A:セロベース錠(日本ケミファ-日本薬品工業)は、1錠中にドンペリドン(domperidone)10mgを含有するフィルムコート錠である。

剤形 温度安定性 湿度安定性 光安定性 水溶解性 力価 融点 総合判定
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domperidoneは白色-微黄色の粉末である。本品は氷酢酸に溶け易く、メタノール又はエタノールにやや溶け難く、イソプロパノール又は クロロホルムに極めて溶け難く、水又はエーテルに殆ど溶けない。融点:約243℃(分解)。

製剤の40℃-75%RH条件下におけるバラ錠のポリスチロール容器充填・密栓では6カ月間にわたって何等変化が見られなかったとする報告がさ れている。

ただし、原薬の温度・湿度・光安定性及び味・臭等に関する情報は、セロベース錠の資料からは入手できなかった。

domperidoneの他の資料によれば、本品原薬について『臭いはなく、わずかに苦い、吸湿性無し』とする報告がされているほか、室内散光下(約1000ルクス)無色・気密瓶保存3ヵ月で変化なく、同条件の太陽光下保存では3日でわずかな外観変化が認められるとしている。また、pH:2・ 4・6・8の水溶液について、無色アンプル保存で、室温散光下(約1000ルクス)の場合、7日保存で薄層クロマトグラフィーに変化が認められたの報告もされている。

以上の各報告から本剤を粉末化し、用時水を加えて懸濁状にすることに特に問題はないと考えられるが、domperidoneのドライシロップを水で懸濁し、液シロップと配合した場合、domperidoneが遊離し苦味を呈するとする報告が見られる。経管投与の場合、味覚変化は問題がないと考えるが、粉末化した製剤を懸濁液の状態で保存することは、避けるべきである。なお、他剤と混合し懸濁液化した場合の配合変化情報については、入手不能。

[014.4.DOM:2004.9.28.古泉秀夫]


  1. セロベース錠添付文書,2004.3.作成
  2. セロベース錠インタビューフォーム,2004.1.
  3. ナウゼリン錠・ドライシロップ・細粒1%インタビューフォーム,1992.7.