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スピルリナとwarfarinの相互作用

土曜日, 8月 11th, 2007

Q:ワーファリン錠服用中の患者が健康食品のスピルリナの摂取について相談してきた。本品中にビタミンKは存在するか

A:スピルリナ(英・spirulina)は、アフリカ、メキシコ等の熱帯地方の高温・高塩分・高アルカリの湖に生育するスピルリナ科に属する多細胞の藍藻で螺旋形をしている。食品として摂食された歴史も古く、16世紀に栄えたメキシコ高原のアステカ王国ではスピルリナを常食していたとする記録があるの報告がされている。1962年スピルリナの生産に関する研究が進められ、1972年SCP国際会議で発表された。我が国では大日本インキ化学が初めてスピルリナの量産化に成功し、健康食品素材として使用されるようになったとされている。

乾燥スピルリナ100g中の成分として次の資料が報告されている。

成分 含有量 成分 含有量
蛋白質 60-70g カリウム 1000-1400mg
炭水化物 15-20g カルシウム 100-400mg
脂肪 5-7g リン 300-700mg
繊維 5-7g ニコチン酸 9-12mg
灰分 3-6g パントテン酸 0.5-0.8mg
水分 4-6g イノシトール 80-100mg
葉緑素 800-2000mg プロビタミンA 110-200mg
カロチノイド 200-400mg ビタミンB1 3-4mg
フィコシアニン 16000-20000mg ビタミンB2 2.5-3.5mg
ナトリウム 450-500mg ビタミンB6 0.5-0.7mg
30-50mg ビタミンB12 0.15-0.25mg
マグネシウム 150-200mg ビタミンE 5-7mg

具体的な測定値としてビタミンKは報告されていないが、原料はクロレラ同様の藻類であり、成分中に葉緑素を含むことから当然含有していると考えられる。従って、ワーファリン錠服用者では、本品に由来する製品の摂食は回避すべきである。

なお、スピルリナの生理活性等については、次の通り報告されている。

  1. 豊富な蛋白質(含有量:60?70%)からなり、そのプロティン・スコアも高く優れた栄養補給源として利用される。
  2. ビタミン類が豊富に含まれており、特にプロビタミンAであるβ-カロチン含有量が高い。
  3. ビタミンAは発育を促進し、粘膜を丈夫にするので皮膚、消化器系、呼吸器系などの癌発生の抑制に効果がある。また風邪の予防、肌荒れ、老化防止、夜盲症、眼精疲労に役立つ。
  4. 本品に含まれているクロロフィルは脳障害、膵炎、肝炎、腎炎に対して有効であることが臨床的にも認められている。
  5. 本品は臨床的には、糖尿病、肝炎、貧血症、肝硬変、急性膵炎、胃潰瘍、慢性胃炎、胃下垂、老人性白内障、円形脱毛症等にも効果があったと報告されている。
  6. 本品は銅、亜鉛、セレニウム等の微量金属を含む。本品の安全性:ラット及びマウスに対する慢性毒性試験、ラットに対する生殖機能及び次世代試験の結果異常は認められなかった。本品に含まれるクロロフィル分解物であるフェオホルバイトは皮膚障害を起こすため、厚生省からフェオホルバイト含量に関する規制が出されている。

[1998.10.27.古泉秀夫]


  1. 福山忠男:健康食品便覧;食品と科学社,1985
  2. 日正出版編集部・編:症状別健康食品大百科;日正出版,1997
  3. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,1998