市販直後調査の英訳
土曜日, 8月 11th, 2007KW:語彙解釈・市販直後調査・市販後調査・PMS・Post Marketing Surveillance・Early Postmarketing Phase Vigilance・EPPV・Early Post Marketing Vigilance・EPMV
Q:市販直後調査の英訳について
A:『医薬品の市販後調査の基準に関する省令の一部を改正する省令の施行及び医薬品の再審査に係る市販後調査の見直しについて』 [平成12年12月27日、医薬発第1324号各都道府県知事宛 厚生省医薬安全局長]により市販直後調査に係る省令等の改正に関する文書が発出された。
その内容は以下の通りである。 (ただし、平成16年9月22日改正薬事法施行のためGVP省令、GQP省令及び施行規則の一部改正に関する省令が交付されている。GPMSP→GVP:Good Vigilance Practice:製造販売後安全基準)。
医薬品の市販後安全対策については、平成8年の薬事法の一部を改正する法律(平成8年法律第104号)等により、その充実を図ってきたところである。
今般、医薬品の市販後調査の基準に関する省令の一部を改正する省令(平成 12年厚生省令第151号)の公布により「市販直後調査」を新設し、また、再審査に係る市販後調査の見直しを行ったところであるが、今回の措置の趣旨等については下記のとおりであるので、貴管下関係業者等に対し周知徹底方よろしくお願いする。
また、「医薬品の市販後調査の基準に関する省令」(平成9年厚生省令第10号。以下「医薬品GPMSP」という。)に関する留意事項を別添「医薬品GPMSPの留意事項」としてとりまとめたので、貴職におかれても十分御了知の上、貴管下関係業者に対し併せて周知徹底方よろしくお願いする。
記
第一 医薬品GPMSPの改正について
1.新医薬品の市販直後調査の新設について(第2条、第5条、第7条、第9条の2、 第16条関係)
- 承認前に治験等から得られる医薬品の安全性情報は、患者数、併用薬、合併症、年齢等の患者背景において限定されたものであり、新医薬品の市販後においては、その使用患者数が短期間に急激に増加し、使用患者の背景も多様化することから、承認前には予測できない重篤な副作用及び感染症(以下「副作用等」という。)が発現したり、予測できない頻度等で発現するおそれがある。
このため、新医薬品については、特に製造業者等において、医療機関に対し確実な情報提供、注意喚起等を行い、適正使用に関する理解を促すとともに、副作用等の情報を迅速に収集し、必要な安全対策を実施していくことが重要であり、医療機関においてもこれらの情報をもとに副作用等の発生に留意しながら慎重に使用することが重要となる。 - これまでも、医薬品の安全性に関する事項その他医薬品の適正な使用のために必要な情報については、薬事法(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第77条の3において、医薬品の製造業者等に対して収集等の努力を求めるとともに、医療関係者に対して収集への協力を求めてきたところであるが、今般、こうした状況を踏まえ、医薬品GPMSPの一部を改正し、「市販直後調査」を新設した。
- この「市販直後調査」は、
[1]新医薬品を対象として、
[2]販売開始直後の6か月間において
[3]当該医薬品の慎重な使用を繰り返し促すとともに、重篤な副作用等が発生した場合、その情報を可能な限り網羅的に把握し、必要な安全対策を講じるというものである。
- これを適正かつ円滑に実施するため、市販直後調査の手順を記載した市販後調査業務手順書の作成及び保存、市販直後調査実施計画書の作成及び保存並びに同実施計画書に基づく実施等について規定したところである。 なお、市販直後調査の具体的な実施方法については、別途通知する予定である。
2. 使用成績調査の改正について(第2条関係)
医薬品GPMSP第2条第3項に規定する「使用成績調査」については、従来、法第14条の4第4項に規定する再審査のための使用成績に関する資料の作成のための調査とされていたが、再審査期間終了後にも実施される場合があることから、当該目的の限定について削除し、再審査のための調査に限定しないこととした。
3. 外国措置情報の収集の強化について(第8条関係)
外国で使用されているものであって当該医薬品と成分が同一性を有すると認められるものに係る製造、輸入又は販売の中止、回収、廃棄その他保健衛生上の危害の発生により講じられ又はその発生を防止するために講じられた外国措置情報については、法第77条の4の2の規定に基づく薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第64条の5の2第1項第1号ハにより報告が義務付けられているところであるが、当該情報の迅速な収集、検討を一層促進するため、医薬品 GPMSP第8条に規定する製造業者等が市販後調査業務手順書等に基づき収集すべき適正使用情報に、外国政府や外国法人から入手する措置情報等の情報が含まれることを明確化した。
4.施行日について
以上の医薬品GPMSPの一部改正は、平成13年10月1日に施行する。
[市販直後調査の定義]
「市販後調査」のうち、製造業者等が、販売を開始した後の6ヵ月間、診療において、医薬品の適正な使用を促し、重篤な副作用等の症例等の発生の迅速な把握のために行うものをいう。
『市販後調査』の英訳については『Post Marketing Surveillance:PMS』が人口に膾炙されているが、『市販直後調査』については、該当する英訳を文献等で眼にしたことがないので、まだ一般的に使用される訳文とはなってないものと思われる。 確認した範囲で、『Early Post Marketing Phase Vigilance:EPPV』が一部で使用されているとされる。
- Early:早期の、初期の
- Phase:局面、段階、相、面
- Vigilance:監視、警戒、不寝番、用心
いずれにしろ現段階では、我が国独特の制度であり、具体的な実施内容を説明しなければ外国人には理解されないのではないかと思われる。
[615.8.EPP:2005.3.14. 古泉秀夫・2005.4.19.一部修正]
- 厚生労働省医薬局:医薬品・医療用具等安全性情報,No.170,平成 13年(2001年)9月
- 国立国際医療センター薬剤部薬品管理室・私信,2005.2.22.
- 英辞郎 第二版;株式会社アルク,2005