紫根の相互作用について
土曜日, 8月 11th, 2007Q:健康食品の『シコン』とワーファリンの相互作用について
A:次の通り報告されている。
シコン(紫根):ムラサキ属ムラサキ科、ムラサキ。
- 中国名:紫草藐
- 学名:Lithospermum erythrorhizon Sieb.et Zucc.(Japanese Gromwell)
- 薬用部分:根
- 生薬名:紫根<シコン>。硬紫根
- 分布:日本、朝鮮半島、中国、アムール
- 使用法:染料(江戸紫)
- 成分:根にnaphthoquinone系の色素(紫色色素)acetylshikonin、shikonin、lithospermic acid、青酸配糖体lithospermoside、allantoin、alkannin、多糖、furylhydroquinone誘導体を含む。
その他、β-dimethylacrylshikonin、isobutylshikonin、deoxyshikonin、α-methyl-n- butylshikonin、alkane、tetracrylshikonin、イソバレリルシコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、等を含む。 - 薬効と薬理:紫根の水浸液はマウス、ラット等に投与するとその性周期に対し、発情抑制作用がみられた。また紫根の抽出液は抗炎症、抗浮腫、抗腫瘍作用の他、皮膚真菌に対して抗菌作用があり、shikonin、acetylshikoninは抗炎症、肉芽形成促進作用がある。紫根は解熱、解毒、抗炎症薬として腫瘍、火傷、凍傷、湿疹、水疱等に外用し、麻疹予防、便秘、黄疸に内服する。
ゴマ油 | 100g |
黄鑞 | 38g |
豚脂 | 2.5g |
当帰 | 10g |
紫根 | 10g |
- 調製法:ゴマ油をビーカーに入れて加熱し、静かに黄鑞と豚脂を加えて溶かし、当帰と紫根を刻んで加え、油が紫紅色になったら熱いうちに乾いた布で漉し、冷後使用する。
- 適応症:火傷、はれ物、痔等
上記の資料中に直接的にphytonadione(vitamin K:黄色?橙黄色)の存在は記載されていない。但し、naphthoquinone系の物質は天然にはα体が多く、西洋クルミ中のjuglone、ムラサキの根に含まれるshikonin、動植物中のvitamin K等はその代表であるとされているため、あるいは何等かの相互作用の発現が予測される。
ワーファリン自体、種々の生体側の要件により効力に影響を受け易い薬剤であり、健康食品としての紫根の摂取は避けることが無難である。
[015.2.LIT:2000.5.22.古泉秀夫]
- 奥田拓道:健康・栄養食品事典;東洋医学舎,2000-2001
- 伊澤一男:薬草カラー大事典;株式会社主婦の友社,1998
- 三輪博・監修:原色牧野和漢薬草大図鑑;北隆館,1988
- 第十三改正日本薬局方解説書;広川書店,1996