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コウジ酸に関する行政文書について

金曜日, 8月 10th, 2007

KW:法律規則・行政指導・行政文書・コウジ酸・麹酸・発癌性・肝臓癌・安全対策

Q:コウジ酸に関する行政文書が出されたが、今回廃止するとされた文書について

A:今回、コウジ酸に関連して発出された文書は、次のものである。

薬食安発第1102006号

平成17年11月2日

社団法人日本薬剤師会会長 殿

厚生労働省医薬食品局安全対策課長

コウジ酸を含有する医薬部外品等に関する安全対策について

今般、別添のとおり各都道府県衛生主管部(局)長あてに通知しましたので、貴会会員に対して周知方お願いします。

  *        *

薬食安発第1102003号

平成17年11月2日

各都道府県衛生主管部(局)長 殿

厚生労働省医薬食品局安全対策課長

コウジ酸を含有する医薬部外品等に関する安全対策について

標記については、平成15年3月7日付医薬安発第0307006号安全対策課長通知(以下、「課長通知」という。)により、当面の措置を通知したところである。その後、実施された試験結果等に基づく「コウジ酸含有医薬部外品の安全性に関する検討会」における検討結果を踏まえ、本日開催された薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会において、コウジ酸を含有する医薬部外品等について、適正に使用される場合にあっては、安全性に特段の懸念はないものと考えられるとされたことから、課長通知を廃止するので貴管下関係業者への周知方お願いする。

今回廃止するとされた医薬安発第0307006号安全対策課長通知とは、以下の文書である。

医薬安発第0307006号

平成15年3月7日

各都道府県衛生部(局)長 殿

厚生労働省医薬局安全対策課長

コウジ酸を含有する医薬部外品等に関する安全対策について

平成15年3月7日に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会において、コウジ酸を含有する医薬部外品等の安全対策について審議を行った結果は、別紙の通りである。ついては、速やかに、貴管下関係者に対して、下記の事項について指導方よろしくお願いする。

また、コウジ酸を含有する医薬部外品について、貴管下関係業者における品目名を把握するため、別紙様式により、FAXにて当課宛て報告をお願いする。なお、該当品目がない場合には、その旨報告されたい。

追加試験結果が出るまでの間、コウジ酸を含有する医薬部外品及び化粧品の製造・輸入を見合わせること。

なお、医薬安発第0307006号安全対策課長通知に係る詳細については、平成15年3月7日付で、厚生労働省医薬局安全対策課より以下の説明文書が公表されている。

コウジ酸を含有する医薬部外品等に関する安全対策について

I.本日、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会が開催され、コウジ酸を含有する医薬部外品等の安全性について、審議が行われた。審議の結果は以下のとおりである。

(基本的考え方)

(1)医薬部外品及び化粧品(以下「医薬部外品等」という。)は、疾病の治療等を目的として有効性と安全性を勘案して使用する医薬品とは異なるものであり、リスク・ベネフィットに基づく評価を行うことは適当ではない。

(2)現段階において得られている科学的知見からは、コウジ酸の肝臓における発がんメカニズムは明らかでないものの、遺伝毒性による可能性が否定できず、また、動物実験において発がん性が示唆されている。

(3)一方で、昭和63年の承認以降、コウジ酸を含有する医薬部外品等の使用による肝臓がん等の健康被害が発生した症例報告はなく、これまでに得られている科学的知見の多くからは、医薬部外品等としての用法・用量の範囲で使用する限りにおいて、発がん性および遺伝毒性が発現するという明らかな科学的根拠はなく、また、発がん性及び遺伝毒性の発現を否定するだけの科学的根拠もない、という状況である。

(4)このような状況において、コウジ酸を含有する医薬部外品等について、現時点では直ちに安全性に問題があるとは考えられないが、追加試験が実施され、コウジ酸と発がん性及び遺伝毒性との関係について明らかになるまでの間、新たな製造・輸入をしないことにより万が一のリスクを少なくする必要がある。

(当面講ずべき安全確保措置)

(1) コウジ酸を含有する医薬部外品等の製造・輸入業者は、以下の措置を講ずるこ。

  1. コウジ酸による肝臓での発がんメカニズム等を明らかにするため、追加試験を実施すること(別紙参照)。
  2. 追加試験の結果が出るまでの間、コウジ酸を含有する医薬部外品等の新たな製造・輸入を見合わせること。

(2) 厚生労働省は以下の措置を講ずること。

  1. 関係業界団体等に対して今回の措置について周知を図るとともに、消費者に対して関連する情報提供を徹底するため、インターネット等を通じて積極的な広報に努めること。
  2. 現在コウジ酸を含有する医薬部外品の承認を有する製造業者等が、コウジ酸と同様の効能又は効果を有するとして承認されている成分への切り替えを行う場合に限り、承認審査上、優先的な手続きを考慮すること。

II.薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会における審議の結果を受けて、製造業者等に対して、以下の事項を指示した。また、厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp)等を通じて消費者に対して関連する情報提供を徹底することとした。

  1. コウジ酸による肝臓での発がんメカニズム等を明らかにするため、追加試験を実施すること。
  2. 追加試験の結果が出るまでの間、コウジ酸を含有する医薬部外品等の製造・輸入を見合わせること。

別紙

追加試験一覧

  1. ラットを用いた肝臓での発がんイニシエーション試験(経口投与)
  2. 肝発がんプロモーション作用のメカニズム試験
  3. ラットを用いた混餌投与による発がん性試験
  4. ラットにおける代謝試験(代謝物の特定)
  5. 32Pポストラベル法による肝臓および皮膚におけるDNA付加体形成試験(光の影響の有無も含めた検討)(経皮及び経口投与)
  6. ヒトでの経皮吸収試験
  7. 光遺伝毒性試験
  8. げっ歯類を用いた皮膚腫瘍に関するイニシエーション・プロモーション試験(経皮投与)

今回発出された『薬食安発第1102003号 医薬食品局安全対策課長』通知により、危惧されたコウジ酸の危険性については、解除されたということである。

[615.1.KOJ:2005.12.7.古泉秀夫]