クロロアセトフェノンについて
金曜日, 8月 10th, 2007KW:薬名検索・クロロアセトフェノン・Chloroacetophenone・催涙ガス・化学的戦略剤・塩化フェナシル・phenacyl chloride・メイス・Mece
Q:催涙ガスとして使用されるクロロアセトフェノンについて
A:クロロアセトフェノン(Chloroacetophenone)。
別名:CN、塩化フェナシル、phenacyl chloride、メイス[Mece(エアロゾール溶媒中約1%含む)。
本品は白色の結晶で、水に不溶。アセトン、ベンゼンに溶解。リンゴの花の匂いを有する。融点:56℃、沸点:247℃。
毒作用:催涙が最初の作用である。
炭化水素溶媒か、又は包装用詰め物材料と混合したことによる激しい眼の障害が過剰汚染後に報告されている。
皮膚接触が、炎症、接触性皮膚炎、及び以後の曝露に対する感受性の増加をきたすことがある。
刺激の閾値は1m3当たり0.3-1.5mg。耐容限界閾値は1m3当たり5-15mg。致死量(ヒト):8,500-25,000mg・min/m3、行動不能効果:1.5mg・min/m3で即座に起こす。化学的戦略剤。
1918年米国で毒ガスとして開発され、主に暴動鎮圧や護身用のスプレーとして使用される。更に戦場でも作戦用毒ガスとしてしばしば使用されてきた。
催涙剤の特徴は、毒性が低く、行動不能にする濃度は極めて小さいということである。主に眼を刺激し、催涙作用がある。一方、皮膚に対しても一時的ではあるが、刺激性がある。新鮮な空気を吸えば、10-20分位で正常に戻る。
治療指針:皮膚と眼を冷水で流しながら、速やかに汚染を取り除くことが必要である。もしこれを完全に行わなければ、その後、クリームやローションを塗布した場合、関与した部位に拡大することがある。皮膚を空気に触れさせ、かつ衣服がそれ以上汚染されないようにすることが重要である。出来れば水よりも1%-重炭酸ナトリウムが眼や皮膚の洗浄によい。0.1%- idoxuuridine点眼薬が推奨されている。
[011.1.CHL:2003.9.9.古泉秀夫]
- Anthony T.Tu,Ph.D.:中毒学概論-毒の科学-;薬業時報社,1999
- 白川 充・他:薬物中毒必携-医薬品・化学薬品・動植物による毒作用と治療指針;医歯薬出版株式会社,1989
- 内藤裕史:中毒百科;南江堂,2001