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クレアチンについて

金曜日, 8月 10th, 2007

KW:薬効・薬理・クレアチン・メチルグリコシアミン・脂肪肝・筋肉分布・神経分布

Q:運動能力の向上が図れるとされる「クレアチン」とはどの様な物質か

A:クレアチン[creatine:methylglycocyamine(メチルグリコシアミン)]は、肝臓で合成され血中に入り大部分は筋肉に、一部は神経に分布し、遊離又はクレアチンホスホキナーゼの作用によりクレアチンリン酸となり、これらの形で存在する。

グリシンとアルギニンを基質としてグリシンアミジノトランスフェラーゼによりグアニジン酢酸(グリコシアミン)となり、次いでグアジニノ酢酸メチルトランスフェラーゼによりS-アデノシルメチオニンからメチル基の供与を受けてクレアチンとなる。

クレアチンが生体内で過剰に合成されると、脂肪肝を起こすことが知られているが、オルニチンがグリシンの代わりにアミジン基の受容体となりクレアチン合成を調節するとされる。血漿クレアチン濃度は0.2?1.0mg/dLであり、筋疾患・甲状腺機能更新時では増加する。クレアチンは腎糸球体から濾過されるが、尿細管で再吸収され成人では殆ど尿中に排泄されない等の報告がされている。

その他、骨格筋、中枢神経、大食細胞、精子等の組織に存在し、変化に富んだ高エネルギー要求に対応する物質である。クレアチンは細胞内の急激なエネルギー要求に応え、細胞間のエネルギー運搬を促進する役割を持つとされている。

骨格筋での高クレアチン量は重要であり、筋肉疲労の感応時間を延長することが出来る。同様に心筋においては心臓ストレスに対する心筋疲労を防御する働きを示す。低クレアチンは精子の運動能力低下に関連しており、脳細胞におけるATPホメオスターシスによる細胞活性の維持に寄与している。

クレアチン分子はアミノ酸とほぼ等しく、ヒト筋肉における比較的分子量の少ない物質の中では最も豊富に存在している。体内全体のクレアチンの95?98%は筋肉に存在する。

1980年代に行われた幾つかのコントロールされた研究において、クレアチン摂取による運動選手の筋力、運動能力への影響が調査されたが、その全てにおいて明確な運動力への影響を示し、競技大会でメダルを獲得するか否かの違いをもたらした。5日間のクレアチン摂取により中距離選手が1000m走を4回行った場合、2m前後のコントロール群に比較し、平均55mの向上が見られたとする報告も見られる。

本品は現在、運動能力の向上等を目的にドリンク剤として市販されている。

[1999.8.31.古泉秀夫]


  1. 南山堂医学大辞典,1992
  2. イムノ・バイオ・ジャパン有限会社・私信,1996
  3. 江崎グリコ株式会社・私信,1999