ウコンの薬効について
水曜日, 8月 8th, 2007Q:健康食品として市販されているウコンの効能について
A:健康食品として市販されているウコン(鬱金)は、ショウガ科植物ウコン(学名:Curcuma longa L.)の根茎あるいは根茎成分である。
ウコンは熱帯アジア、インドを原産地とし、熱帯及び亜熱帯アジア諸国、台湾、ハイチ、ジャマイカ、ペルーを主産地とする多年生草木で、食品添加物としてウコン色素(クルクミン:curcumin)が用いられる。また、本品はターメリック色素(turmeric oleoresin)とも呼称される。
ウコン色素はウコンの根茎から得られたクルクミンを主成分とするもので、食用油脂を含むことがある。
本品は、黄?暗赤褐色の粉末、塊、ペースト又は液体で、特異な臭いがある。クルクミンは、β-ジケトン類に属する黄色色素である。
ウコンはカレー粉、沢庵、漬物、ピクルス、フレンチマスタード、ピラフ、マーガリン、バター、チーズ、フルーツドリンク、リキュール酒に用いられ、また高価なサフランの代用としてブイヤベース、パエリア等のフランス料理、スペイン料理の着色料として用いられる。
インドネシアでは、新郎・新婦が自分達の腕をウコンで黄色に染め、日本の赤飯の代わりにウコンで色付けした黄飯を食べるという伝統が残っている。インドでは女性の無駄毛を抑える目的で外用薬として塗布しているとする報告も見られる。
多くのアジア諸国では芳香性健胃薬や駆風剤(腸内ガス除去)、利胆薬として肝臓炎、胆石症、カタル性黄疸に用いられ、また治療中の潰瘍の内服薬や皮膚のはれ物、炎症を抑える軟膏として用いられている。
その他、ウコンに含まれる成分について、次の報告がされている。精油を1.5?5.5%含有し、その構成成分はturmerone、(+)-ar-turmerone、zingiberene、(+)-α- phellandrene、cineol等である。黄色色素はcurcumin(0.3%)、p-coumaroyl feruoylmethane、di-p-coumaroylmethane等である。その他、脂肪油、澱粉などを含有する。
薬理作用として
- 消化器作用:精油懸濁剤の経口投与により、口腔粘膜の刺激に伴う唾液分泌の亢進が見られる。胃内では、胃に温感を与え、胃運動を亢進、分泌を刺激する。これらの作用により食欲増進、健胃作用を示す。消化管運動は、始め緊張を増し、その後弛緩させる。
- 利胆作用:curcumine、turmerone、cineol等の成分が肝細胞を刺激して分泌を増大、胆汁排泄も促進するので、利胆薬に分類される。大量では肝臓の脂肪変性を起こす。
- 心臓作用:麻酔ネコの心電図を指標とした実験で、心房、心室の収縮力を増大させる作用が認められたが、過剰量では抑制作用のみが発現した。心臓促進作用と同時に、呼吸興奮作用のあることも確認されている。
等の報告がされている。
適用として
- 芳香健胃薬として各種の処方に配合される。また利胆薬として肝炎、胆道煙、胆石症、カタル性黄疸に用いる。常用量は粉末として6?20g/日。
[015.9CUR:2000.3.14.古泉秀夫]
- 鈴木郁生・他監修:第7版 食品添加物公定書解説書;広川書店,1999
- 高木敬次郎・他編:和漢薬物学;南山堂,1983