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咽頭炎に対する点鼻薬の処方

水曜日, 8月 8th, 2007

KW:薬物療法・咽頭炎・pharyngitis・急性咽頭炎・慢性咽頭炎・アレルギー性鼻炎・血管運動性鼻炎・点鼻薬・フルニソリド・ flunisolide・シナクリン点鼻液

Q:咽頭炎の治療に鼻炎治療用の点鼻薬(フルニソリド等)が処方されることがあるが、このような使用法は適応外使用に当たらないか

A:咽頭炎(pharyngitis)とは、口狭、咽頭の粘膜及びこの部のリンパ組織の炎症をいうとされている。

  • 急性咽頭炎:感冒、種々の物理的・化学的刺激、鼻疾患などの隣接部位の炎症の波及、その他伝染性疾患に際して起こり、咽頭粘膜の発赤腫脹を伴い、嚥下痛、発熱、異物感、乾燥感、及び分泌過多を起こす。
  • 慢性咽頭炎:急性炎症からの移行、塵埃、乾燥、寒冷、熱気、飲酒、喫煙及び鼻疾患などの咽頭粘膜への持続的刺激により生ずる。

等の報告が見られる。

一方、フルニソリド(flunisolide)製剤である「シナクリン点鼻液(大塚)」の承認適応は、「アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎」の2適応である。

咽頭炎がウイルス又は細菌の感染に起因する場合、本剤の添付文書中に禁忌として「有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者[免疫抑制作用により、症状が増悪するおそれがある]」の記載がされており使用は回避すべきである。

咽頭炎の原因が、アレルギー性の鼻疾患に関連するもの又は血管運動性鼻炎との関連の疑いがあり、flunisolide製剤の投与がされた場合、原疾患の治療ということで、適応外使用には当たらないと考えられる。

しかし、いずれにしろ医師の診断の根拠が明確にならない限り、本剤使用の是非を論ずることは困難である。

[035.1.PHA:2004.1.27.古泉秀夫]


  1. 医学大辞典;南山堂,1992
  2. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2003
  3. シナクリン点鼻液添付文書,2002.12.改訂
  4. 高久史麿・他監訳:ワシントンマニュアル 第9版;メディカル・サイエンス・インターナショナル,2002