イチョウの効能について
火曜日, 8月 7th, 2007KW:健康食品・機能性食品・生薬・イチョウ・ギンナン・ギンキョウ・Ginkgo biloba L・銀杏・公孫樹・白果・ハクカ・ハクカヨウ・白果葉・銭・重量換算
Q:イチョウの効能について
A:イチョウ属、イチョウ科、イチョウ(ギンナン)[Ginkgo biloba L.]。銀杏、公孫樹。
- 薬用部分:種子(銀杏;ギンキョウ)、白果(ハクカ)、ハクカヨウ(白果葉)、根あるいは根皮、樹皮。白果は秋?初冬(10?11月)にかけて、取った果実を水につけるか土中に埋めて果肉(外種皮)を腐らせて除き、白い内種皮に包まれた種子を日干しにする。白果葉は9?10月に採集し、日干しにする。
- 成分:外種子にはフェノール性化合物のギンゴール酸、ビロボール、微量の青酸配糖体、でんぷん、脂肪。葉にはフラボノイドのイソラムネチン、ギンゲチンが含まれる。
その他、種子の成分として次の報告がされている。
少量の青酸配糖体、ジベレリン、サイトカイニン様物質を含む。内胚乳からは2種のリボヌクレアーゼが抽出される。
一般組成は蛋白質6.4%、脂肪2.4%、炭水化物36%、カルシウム10mg%、リン218mg%、鉄1mg%、カロチン320mg%、ビタミンB250mg%及び多種のアミノ酸である。
外種皮は有毒成分ギンゴール酸、ヒドロギンゴール酸、ヒドロギンゴリン酸、ピロボール、ギンノールを含む。またアスパラギン、蟻酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、ノナコサノール109等も含む。
花粉は多種のアミノ酸、グルタミン、アスパラギン、蛋白質、クエン酸、蔗糖等を含む。
雄花はラフィノースを含み、新鮮なものの量は4%に達する。
- 薬効:鎮咳、夜尿症に用いられる(白果)。
- 使用法:鎮咳・去痰薬として用いる場合には、生薬5?10gを煮てその汁ととともに食べるか、焼いて食べてもよい。多食又は生食すると中毒を起こし、時に死亡することがあるので注意が必要。
また、昔からイチョウの葉を本のしおりに使用するとシミ(紙魚)がわかないといわれ、農家では落ち葉を駆虫をかねた肥料とする。
夜尿症に用いる場合には、就寝前に子供の年齢と同数の銀杏を煮るか焼いて食べさせる。
白果葉の成分については、次の報告がされている。
- イソラムネチン、ケンペロール、ケンペロール-3-ラムノグルコシド、クエルセチン、ルチン、クエルシトリン、ギンゲチン、イソギンゲチン、ギンゴリド A・B・C、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン等タンニン類の成分を含む。
- 白果葉は蝋0.7?1%を含みそのうち10%が酸性成分、15%がエステル、75%が非エステル成分である。
- 蝋の主要成分はギンノール、ノナコサノン-10、ノナコサノール、オクタコサノールである。
- 白果葉中には更にシキミ酸、α-ヘキセナール、リノレン酸、β-シトステロール及び微量のスチグマステロールなどを含む。
- 含有フラボン類、ギンゲチンを含む錠剤は、高コレステロール血症の患者に対し血清コレステロールの水準を下げ、リン脂質を高め、C/P値を改善するようであり、高血圧病の患者に対してはかなりの降圧作用があるようであるが、下げ幅はあまり大きくない。
- 白果葉の用法・用量として、1.5?3銭を煎じる。若しくは研って粉末にし服用する。
なお、服用量の単位については、次の報告がされている。
1斤 | 10両 | 500g |
1両 | 10銭 | 50g |
1銭 | 10分 | 5g |
1分 | 10厘 | 500mg |
1厘 | 10毫 | 50mg |
- 三橋 博・監修:原色牧野和漢薬草大図鑑;北隆館,1988.p.673
- 上海科学技術出版社・編:中薬大辞典;小学館,1985.p.2046.2055